1193番:女の一生(2)
- カテゴリ:日記
- 2025/08/04 15:49:38
女の一生(2)
Une vie /
Guy de Maupassant
————————【2】———————————
L'averse, toute la nuit, avait sonné
contre les carreaux et les toits.
————————(訳)————————————
突然降ってきた雨が一晩中窓ガラスと屋根
を鳴らし続けていました.
————————⦅語句⦆————————————
averse :(f) にわか雨 *
assuyer une averse / にわか雨にあう
recevoir une averse / にわか雨にあう
sonné: (p.passé) < sonner
sonner:(自) (鐘・ベルが) 鳴る
carreaux:(男複) <carreau (m) 窓ガラス
toit:(m) 屋根
* にわか雨が一晩降り続けると、それは
にわか雨ではないが形容表現は国によって
様々だと思うので、ここでは突然の雨と訳
しました.
————————≪文法≫———————————
avait sonné の形は大過去になります.
音を鳴らしていたなら、半過去sonnait を用い
るはずですが半過去という時制は時間限定され
ると用いることができません.ここでは一晩
という限定があります.一晩降った.そして
今は朝.つまりはじめと終りがある「全過去」.
「完全過去」と言いたいが、それはすでに文法
用語で単純過去を指すもの.なのでこでは言い
得ない.完全過去が出たついでにいうと、これ
はスペイン語の文法用語で別称は点過去.初め
と終りが示されると、それは過去の1点になる
からです.ちなみに半過去は、線過去と呼ばれ
ています.終りが見えない、ずっと続く情景を
描きます.
さて、もう一度、話を整理します.
ここでは「一晩中」という時間限定(初めから
終わりまで)が付けられていますので、文法上、
半過去が使えず、複合過去に強制送還されると
ころ.しかしそれでは、情景描写ができないの
で大過去を使っています.
半過去は背景描写がよくお似合いですが、 期
間がはっきりしている過去の情景描写は大過去.