最期の夜月
- カテゴリ:自作小説
- 2025/07/29 10:26:55
第三十九章
仕事へと集中し始めて1時間程経っただろうか…肇さんからの連絡は無く、私の中で何故か不安が過り、彼へと連絡をしてみる事にした。「肇さん?連絡ないけど、大丈夫?」と送ると、すぐに返事は返って来た。「美月さん…あいつ…奏汰がバイト先に来て…やり直したいって…」…「僕、凄く嫌だ…」「え?ソウタ?さんで合ってる?元彼さん?バイト先に来たの?大丈夫じゃないよね?バイト15時迄でしょ?早上がりさせて貰っておいで?」と彼へとの連絡に集中した私は「なんだったら、バイト先も、辞めさせて貰えたりしない…かな?」「良いの…?バイト辞めて来ても…?」「勿論だよ、もしもう元彼さんいないなら物件見ておいで?私はどこでも良いから」「うん…お店にも迷惑掛けちゃって…あいつ…出禁にして貰ったんだ…」「ごめんね、美月さん…リスカしちゃうかもしれない…」「うん…分かった、帰れる時間が17時半辺りだから、兎に角元彼さんがいないなら、物件見ておいで?リスカは仕方ない事だと思ってるから、今は、ね?」と彼へと伝え、「何かある前にちゃんと連絡してね?」と釘を刺し、連絡は一旦終わる事となった。
元彼さんに対する怒りがふつふつと沸く頃、…今は先々の事の仕事を終わらせないと、とほんの少しばかりの深呼吸をして、私は落ち着く様に仕事へと向かう。…まだ、14時半だ…私の仕事終わり迄にも3時間はある…大丈夫だろうか…肇さんの事がすぐに頭にちらついてしまう。…今は仕事に集中しよう、…私が取り乱してどうするんだ…と冷静になる様に務めた。…よし、仕事に集中だ…と頭を切り替え、仕事へと集中し始める。4日程先の仕事へと手を付け始めた頃、私の携帯に連絡が入っていた。「美月さん、お疲れ様」と、肇さんから連絡が来ていた。私はすぐに携帯へと目を移し、「肇さん?元彼さんは大丈夫だった?」と尋ねた。「うん、バイトも早上がりにもさせって貰って、今不動産に来てるんだ」「そっか、良かった…どこか良い物件ありそう?」そう聞くと、「美月さんは今の部屋位の方が良いかな?それとももう少し広めの方が良い?」と逆に聞いてくれた彼がいた「んー…どうしようか…2LDK位でどうかな?」と私は彼へと問いた。「僕もちゃんとお金払うからね?」と彼は私へと返信をしてくれ、「うん、ありがとう」と私は答えた。「今住んでる所から2駅分くらい離れた所なんだけど、大丈夫かな?」「勿論、大丈夫よ」と私は答えた。「もう、仕事も4日後辺りには在宅に出来るみたいだからね?何も心配しないで、大丈夫だから」と彼へと返事をした。「…あのね、美月さん…カッター…買っちゃったんだ…」「そっかそっか…まだ切ってはいない?」と尋ねると、「うん…少し我慢してる」ときっと苦しいであろう状況を伝えてくれた。「良く頑張ってるね、凄いよ肇さん、偉い偉い」と彼の事を全肯定する事が今は優先的な気がしていた私だ。「良いお部屋ありそう?」と彼に尋ねると、「うん、割と良い部屋ありそうなんだけど、僕一人で決めちゃうのも美月さんに悪いと思って…」「良いんだよ、私の事は二の次で、肇さんが部屋決めちゃっても何の問題もないからね?」と彼へと伝えた。「本当に僕の決断で大丈夫?」「うん、私は何処でも良いから色々と見て回って良いと思った部屋があれば決めておいで」と返事をした。「…勝手な事してないかな?僕…」彼は今不安定なのだろう…そう感じた私は「だーいじょうぶよ、肇さんが良いと思う場所にしてご覧?」と返事を返した。彼は「ありがとう、それじゃあお言葉に甘えて色々見せて貰ってくるね」と返って来た。「うん、分かった、私が返る迄誰かと一緒に居る様にして」と伝え、「…うん、分かった」と素直に私の言葉に返事をしてくれた。「17時半には帰って来るからね?」と伝え終え、連絡は一旦止まる事となる。