偕老同穴
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/06/11 23:08:25
ふと自分の欠点に気づくたびに
 そのへこんだところに
 何かを詰め込まなくてはと
 焦るものだ
 学生の頃には、いやついさっきも
 埋められそうもないへこみを気にして
 ちょっと落ち込んだ
 しかし どこかへこんでいるというのではなく
 全部が空洞の生物がいる
 二匹の海老がやってきて
 その中に住みつくと
 彼らは一生出ていかないという
 やわらかい繊維で編んだような
 円筒形の家が海の底にふんわりと立っている
 ビーナスの花かご(ビーナスフラワーバスケット)と
 西洋人は呼び カイロウドウケツ(偕老同穴)と中国の古人は名付けた
 
へこんでいたり欠けているところは
 ふと何かの容れものになることがある
 時には思いもしなかったものが棲みつくことも
人間には二種類の人がいる
 自分を捉えるのに自分の長所によって前向きに自分を捉える人間と欠けたもの、つまり短所によって自分を悲観的に捉える人間
 
ないということがそれほど人目をひくものだと感じ
 自分という容れ物に逃げ込む
 しかし、誰でもいくつかのへこみを持って
 生きているものだ
 それは誰の目にもわかるその人の印なのに・・・
 
ビーナスの花かごにやってきた海老たちは
 初めから夫婦だったわけではない
 彼らは幼生として流れ着き
 一方が雌として成長すると
 他方は雄になるのである
 相手に欠けたものに 自分がなって
 ふたりして一生をそこで暮らす
 そうしなければ生きていけない海老の宿命がある
 
僕のへこみに
 何かがずっと前から
 棲みついている気配を
 時々、感じることがある

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				- ✧˖°アナ*+
 
- 2025/06/12 13:45
- 素敵ですね*^^* ごめんなさい ヘルメスさんを”お気に入り”にいれている者です。たまにお伺いしてブログを読んだりして 許してくださいฅ(・¨ (●)ฅ
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