泣き虫
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/06/02 21:55:04
夢の中からは何一つ持ち出してはいけないのに
時として君は涙を持ち帰ることがある
できたばかりのせいか
とても熱い
耳たぶまで濡らして
目を覚ます
不安そうな目をして
夢の奥まで彷徨っていたの
大声を出して泣いていたの
小さい頃から泣き虫の君は
僕が必ず守ってあげると約束したら
すやすや寝息を立てて眠り出した
静かな朝なのに
君は頬に笑くぼをみせて微笑んでいる
夢の奥で僕の約束の声が聞こえたのかな
向こうを向いて眠っている君を
僕はこちらに抱き寄せて
泣き虫の唇にキスをする