最期の夜月
- カテゴリ:自作小説
- 2025/05/30 19:34:10
第三十章
私は彼に…「肇さん?食事は採れそうかな?」と尋ねた。…彼は軽く咥え煙草をし、どこかしらの世界へと行っている様に見えた。…「肇さん?」と私は彼を呼ぶと、…「あ、すいません…ボーッとしちゃってた…」と言っていた。…「うん、大丈夫よ」と私は返事をし、…「肇さんは今お腹空いてる?」と言い方を変え、聞いてみる事にした。少しばかり考えに耽り、彼は…「うーん…どうだろう…」とまた奥深く迄潜っていくかの様に咥え煙草をし始めていた。…今日は食事が採れる訳…ない…かと私も思い直し、テーブルへと腰を下ろした。…私も煙草でも吸おう…そう思い、煙草を取り出し、火を点けた。そんな私へと彼は一瞬で、彼の世界から戻って来ていたで、…「あ、美月さん?お腹空いてない?」と逆に尋ねられていた。…「私は大丈夫よ」と答え、…「そっか…良かった…」とホッとしている様に煙草を吸っていた。…「明日私仕事なんだけど、肇さんのバイトは15時迄が普通なの?」と聞いてみた。…「…うん、大体15時迄だよ」と答える彼に、…「肇さん?私の仕事終わりが17時なのね?それまでリスカしない事は出来るかな?」2時間も彼を一人にしてしまう時間が、私には気掛かりでしょうがなかったのである。…「もし…美月さんの都合が良ければだけど、連絡先…とか交換出来る?」と彼にも「一人」になる時間が怖かったのかもしれない。そんな言葉を紡いでいた。…「勿論、大丈夫だよ、連絡先交換しよっか」と彼に伝え、…「うん…ありがとう…美月さん」と小さく消え入りそうな声で言葉にしていた。…それじゃあLINE交換しよっか」と私は提案し、彼は大きく頷いていた。…「宜しくお願いします」と言葉も添えながら。…「美月さんは…明日何時頃からお仕事なの?」と尋ねられた私は、…「朝の9時からだよ」と私は答える。…「でもいつでも連絡は取れるから、何かしら不安とか過ったらすぐ連絡して?もう、自分の事傷付けない様に私がいるから…」と彼へと伝えた。…「…本当にありがとう、美月さん」…「全然だよ」と答えた私は、気になっていた事を聞く事にしてみた。…「肇さんは職を変える気はある?」と聞いてみると…「…あーこの際、良い決心になるかもしれないね」と答えてくれた。…「それなら良かった」と私はホッとした次第である。…「明日、私の仕事が終わる時間まで不動産がやっているか分からないから、肇さんほんの少し何処かしらの物件の資料貰ってきてくれない?」とお願いすることにした。…「…うん、了解しました」と彼は私のお願いを引き受けてくれた。…「ありがとう」と彼へと伝えると、「こちらこそだよ」といつも通りに笑っている様で何だかとても辛そうな笑顔を私へと向けてくれた彼がいた。
美月さんも大人とは言え身の回りのことが変わるとなると
やはり大変ではありますよね
その覚悟を肇さんは戸惑いつつも きっとありがたく思っているのでしょうね
無理せず良い方向へ向かいますように
いつも良いお話をありがとうございます
一気に真剣に読んでしまいました