【小説】先生を好きになってもいいですか?(改)⑨
- カテゴリ:自作小説
- 2025/05/29 21:50:58
【告白】
9月、2学期開始
中立の小林さんから、手紙をもらった。
『井上さんは、このクラスの女子が2つに分裂しているのをどう思いますか?
私はどちらのグループに入れていないので、辛いです。
井上さんともあまり話せていないので寂しいです。』
私はひとりでも大丈夫だけど、小林さんは、ちあき達のグループに入るのがいいなって、思った。
この手紙をきっかけに私は小林さんとよく話すようになった。
小林さんのみんなと仲良くしたい気持ちが伝わってきた。
私は、小林さんをまぜて、美緒やちあきとしゃべるように努力した。
北原さんと松永さんとは無理だったけど、小林さんと美緒とちあきと私と4人で話すことが増えた。
小林さんもうれしそうだった。
私はいこじになって、みんなと話そうとしなかったことを反省した。
世界史の授業の後、放課後、社会科準備室に来るように、水原先生に呼ばれた。
社会科準備室ーーーーーー
コンコン!
「失礼します。」
「井上、珈琲でも飲むか?」
「話って何ですか?」
「いや、最近明るくなったな。クラスの女子ともよく話してるし。」
「小林さんから手紙もらって、ちょっと、考え方変えてみたんです。」
「そうか。」
「生田とは、友達になりたいって言ってたし、よかったじゃないか。」
「先生は、それを言うために、わざわざ、呼び出したんですか?」
「悪いか?」
先生は、少し照れたように言った。
「心配してもらえて嬉しいです。」
「ありがとうございます。」
「問題が起こらず、このまま過ごせたらいいな。」
先生は続けて言った。
「女子9人で仲良しじゃなくても、みんなが笑顔で過ごせたらいいんじゃないか?」
「そうですね。」
珈琲を飲みながら、私は、先生が私の事どう思っているのか気になった。
好意は持ってくれてるよね。
2回も実家に連れて行ってくれたし、うぬぼれてもいいのかな...。
「水原先生って、好きな人とか彼女とかいてるんですか?」
なんか、自然と言葉がでた。
先生は飲んでいた珈琲を噴出した。
「急にどうしたんだ?井上。」
「私、水原先生のことが好きです。」
まだ、熱さが残る9月。
夕陽が赤い影を落とす。
私は真剣な表情で先生を見つめた。
先生は深呼吸をして真剣に答えてくれた。
「俺は教師だ。そして、おまえは生徒だ。」
「卒業式が終わっても気持ちが変わっていなかったら、その時話を聞くよ。」
私には十分すぎる返事だった。」
「井上。今はおまえの気持ちに応えてはやれないが、今まで通り、いつでも、相談とかには、来いよな。」
「ありがとうございます。」
「じゃ、約束の握手だ。」
先生の手は大きくって温かだった。