Nicotto Town



宝物を探して







赤ちゃんの時からあり余るほど撮った写真
アルバムに貼りきれず
箱に無造作に入れられた膨大な数
時間に撫でられて微かにしなっている

写真は「防腐剤をかけられた死」だと
スーザン・ソンタグは言った
成長するたび脱皮していく子どもたちは
無数の死を抜け殻として残す
浴室の手前に脱ぎ散らかされた衣服のように
少年は大人になり、やがて老人となる

宝物(夢)を隠した子供は
それを忘れていくということに気付かない
心の洞窟の奥深くにしまったので
毎日見に行くことができないのだから・・・

大人になるということは多くの夢を脱ぎ捨てること
冒険家や盗賊たちとの闘いも無く
自分の中の迷路を彷徨うのはうら淋しい
宝物の箱は「待つこと」と「忘れること」で覆われ
中身はみずから錆びた眠りにつこうとしている

しかしそれでも行かなければならないような気がする
なぜって 宝物を埋めたのは自分だし
その宝物を見つけるのも自分しかいないのだから
それは子供の頃とは違う世界への入り口となるかもしれない焦ることはない
いずれ辿り着けるだろう







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