Nicotto Town


なるべく気楽に気楽に~!


最期の夜月

第二十六章

歩いて10分程のスーパーへと向かった私はハヤシライスの具材やら米を買い込んだ。米は5kg程の物を選んだ。いつもは買わない量の米だ。少しばかり重いかなとも思ったのだが、割とすんなりと持てた私に驚いた。なんだかんだでスーパーをうろうろしていた為、時刻は15時を廻ろうとしている時刻だった。…さ、帰ろっかな…と荷物を持った時に、…「…あれ?美月さん?」と声を掛けられた。声を掛けてくれたのは肇さんだった。
…「…え?肇さん?バイトは?」と尋ねた私に…「僕15時迄で…美月さんとの夕食買いに来たんだぁ」とにこやかに笑っていた。…「あ…私も肇さんとの夕食の買い出しに来てたの」と言うと、…「え?そうだったの?」とお互いに笑い合った。…「そんなに沢山…何にしようと思ったの?」と問われた私は…「ハヤシライスでも作ろうかと思って…」と苦笑いしてしまった。…「わぁ、僕の大好物!…ははは流石だね!」とお褒めの言葉迄貰ってしまった私だ。…「そ、そうなの?良かったー」と私迄笑顔が零れ落る。…「じゃあ僕、荷物持つ!」と彼は楽しそうに笑い、私の買った食材達を持ってくれた。…「ありがと」と私達はスーパーを後にする事になった。同じ部屋へと帰る道。とても心地の良い風が吹いていた。…「こんなに重い荷物…美月さん、駄目だよ!」と笑いながら言う彼に…「あはは…そう?駄目なの?」と帰り道の10分程が楽しく思える時間だった。…あっという間にマンションへと着き、私は鍵を開けた。…「ありがとう、肇さん」と伝えると、…「こちらこそですよ」と笑っている彼がいた。買い込んだ荷物を…「よいっしょ」と玄関先へと置き、…「ただいま、美月さん」と言ってくれた。私もすんなり…「おかえり」と彼を迎え入れた。…「こんなに重いもの一人で持ち帰ろうとしてたの?」と問われ…「あ、うん」と笑った。…「これからの買い出しは僕が行きます!」と楽しげに笑う彼に…「ありがとう」と私も笑っていた。…「女性がこんな重い荷物持っちゃダメだよ!」と笑っている彼に…なんて優しい人なんだろう…としみじみと実感してしまう…「ありがとう」と心からの言葉が出てしまう程に、彼は優しかった。…「今日は暑いね」と彼は私へと言葉をくれた。…「ほんと、暑いね」と私は部屋へと入りながら、エアコンを付けた。…「あ、そうだ!肇さん?今日暑かったから、アイスも買ったの、一緒に食べない?」…「うわー嬉しい!僕もさっきのスーパーで買おうと思ってたんだぁ」と似たような事を考えていたらしい私達は、…「それじゃあ一緒に食べよ!」と彼を誘う。…「うん!」と答えてくた彼に、…「肇さんの好みが分かんなかったから、沢山選んじゃった」と私は笑った。…「あはは…袋開けてみても大丈夫?」と確認してくれる彼に…「勿論!」と彼の確認を受け止めた私だ。アイスを見付けたらしい彼は…「美月さん!こんなにアイス選んでくれたの!?」と驚かれてしまった。…「あ、うん」と苦笑いにも似た私の笑顔に彼は爽やかに笑い…「全部僕の好きなやつ!」と言ってくれていた。…「良かったー」と私は素直な笑顔が零れ落ちる。二人でアイスを選び、一緒に食べる運びとなる時間に私は…幸せってこんな時間なんだろうな…と何だか実感するかの様に心が温かくなる感覚になっていた。

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2025/05/25 15:27
似合う人同士って 自然に偶然が重なるものなのかもしれないですね
お揃いの黒コーデ
偶然に同じ時間に同じ場所
食べ物の好みも合いそうだし
出会うべきして出会ったのかもしれないですね
運命って不思議だし あるのかも って思えるお話
まるで どこかの誰かの本当のお話みたいで
紫月さんの文章力にいつも感嘆しています

いつもありがとうございます

無理しないで 楽しんで書かれていますように



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