Nicotto Town


忘却の彼方に


或る怪盗紳士の憤怒~某迷探偵の事件簿外伝


私はスリル多き人生を謳歌している男。

世間では悪どい金持ちと警察を手玉に取って世を騒がせる
怪盗紳士と呼んでいるらしいが、
それは私という、個性的で重層的な人間の、
ほんの一面に過ぎない。
例えば、この国での私は新進気鋭の若き実業家であり、
教会に理解のある篤志家であり、
カフェで愛を語る女性との束の間の恋を楽しむ色男であり、
或は敵を徹底的に叩き潰す戦士でもある。
そして、海を挟んだ白亜の崖の上にある国では、
一大学で教鞭を取る教授であり、
その地の犯罪組織の黒幕でもある。

さて、教授での一時期、見どころの或る学生がひとりいた。
非常に利発で、理解力・分析力・記憶力に優れ、
突飛でもない発想で物事の事象を解体するという、
正に探偵に相応しい能力を全て揃えた男だ。
私は、こういう人間は取り込むに限る、と目をかけていたのだが、

人間としてとてつもなく怠惰でもあった。

時間は守れず、生活は乱れ(とは言え女性の影はなかった)、
興味があるものには非常に積極的だが、
興味がないと空気ほども意識しない。
約束を守ることだけは美徳だったが、
半面平気で嘘をつく。
いつの間にかどこかで〇ロポンを覚えてから、
その傾向に拍車がかかり、
遂に私は彼を見離した。

その後、彼はいつの間にか探偵になって
あの国では結構な有名人になり、
この国の悪い金持ちに招かれて、私と対決することになった。
彼は私を拳銃で撃ったのだが、
〇ロポンで震える手では照準もおぼつかず、
運悪く隣りにいた(口説き予定だった)女性に当たってしまった。
私は倒れた彼女を抱きかかえ、
その場を颯爽と去ったのである・・・

あ、因みにではあるが、

この女性は死ななかった。
急いで病院に運んだし、弾が急所を逸れていたから。
私は彼女の治療を病院に任せ、
その後数年間、例のゴートに関わる伯爵がらみの事件に囚われていた。
そしてそれが全て解決し、
あの時怪我をした女性のその後が気になって、
変装して彼女の様子を見に行ったところ・・・
あの美しかった女性は見る影もなく、
今やノワール・ド・ビゴールのごとき巨体に化しており、
ソシソン・リヨネのような太い指で
2歳くらいと思われる幼女の手を掴んで引いていた。

君子危うきに近かよらず・・・

私は貌を伏せて静かに去った。

その後、ショル・・・あ、あの男と
アイツの国で対峙することになった。
今まさに闘いが(と言っても口だけの)始まろうとした時、
「母の仇!」
と叫びながら爆弾を投げつける若い女性が・・・
何とか無事に逃げおおせた私は、
あの若い女性の「母の仇!」が気になり、
部下達に調査を命じた。
そして今、その報告書がここにある。
私は息を一つ吐いてそれを読み始めた・・・

あの爆弾娘は、
ノワール・ド・ビゴールが連れていた幼女だった。
ビゴールは娘に、
「あの男は私とあなたを捨てていった極悪人」
と吹き込んでいたらしい。
私は頭を抱えて溜息をした。
何故なら私がビゴールと娘を見た時、
あの娘はまだ2歳だった。
ビゴールが撃たれたのはその5年前。
私がカリオス・・・にずっと取り掛かっていて
その間、ビゴールと会うことは全くなかった。

そもそも私の子じゃないぢゃん!母の仇ってなによ!

こうなりゃDNA鑑定だ。
その結果をあのビゴールと爆弾娘の顔に叩きつけてやる!

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2025/04/11 14:58
四季さん

そうそう、モリアーティ=ルパ~ンにしちゃいましたwww
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2025/04/11 14:57
ヒー!さん

与太話が増えてしまいましたw
もうひとひねりはばんびさん次第で^^;
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2025/04/11 10:25
あの爆弾騒動の裏側!そうだったのか~(゚д゚)!
モリアーティ教授=ルパ~ン  なの?なの?
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2025/04/11 09:57
ほんとの小説読んでるみたい! 引き込まれました
あっちの話とクロスしてて こちらのストーリーも面白かったです(^^♪  
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2025/04/10 14:17
ばんびさん

またまた勝手な物語を作っちゃってすみません^^;

お母さんはビゴール「のようなもの」ですからw
一応人間ですから、ビゴールによく似ていますが・・・
爆弾娘さんも今はキレイだけど気を付けないとね~
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2025/04/10 13:56
あははは!爆弾娘の母は黒豚なんだ~。
カフェでちゃんと口説いててくれたら…
恨みごとなんか言わなかったのに。




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