【小説】真夏の罪 その⑪ その後
- カテゴリ:自作小説
- 2025/03/28 17:00:31
それからも、香月君は時々、私の学校に来ていた。
「岩崎!」
香月君が私を呼び止めた。
「なにか用事?私今から、パルちゃんたちとファミレス行くんだけど。」
冷たく返事をして、私はパルちゃんたちと帰っていってた。
香月君から、たわいもないLINEも、ときどき来たけど返信することはなかった。
一か月もしないうちに、香月君に彼女ができたってパルちゃんから聞いた。
「私の中学校のときの友達に彼氏できたって言うから、写メ見せてもらったの。」
「そうしたら、なんと、香月君だったの。」
私は不思議と驚かなかった。
中学のときから、ちょっとかわいい子から告白されると、付き合っていたもの。
やっぱり、人ってそんなに簡単に変わらないものなんだって思った。
街ですれ違ったときも、大勢の女子と楽しそうにしていた。
〈香月君、カラオケいこう♡〉
〈私、香月君のドライフラワー聞きたい♡〉
〈佐紀ちゃん、古いよ(笑)〉
きゃははは。
香月君は、私に気も付かず、通り過ぎて行った。
不思議と、腹はたたなかったな。
ああ、こういう人なんだ。
女の子に囲まれてるのが似合う人だなっては思った。
陽斗君に別れを告げられた日、香月君の手をとらないでよかったと、心の底から思った。
陽斗君とは、しゃべることもなく、2学期が終わった。
お正月、パルちゃんたちと初詣に行っておみくじを引いた。
『大吉』♡
願い事:叶うでしょう
恋愛:罪は許される
パルちゃんが覗き込んで、言った。
「大吉やん♡罪は許されて、想いは叶うってことじゃない♡」
罪は許される...香月君とキスしたことは、許されるの?
想いは叶うの?
おみくじ、大事に持っておこう♡
――――高校 3学期
――――1年5組の教室
「おはよう。岩崎さん。」
えっ?えっ!えーーーーーーーーっ!!!!
私に挨拶してくれたのは、陽斗君だった。
「お、おはよう。吉岡君。」
私は、ものすごくどもって返事をした。
たった、それだけの会話だったけど、涙がでた。
「あっ!陽斗君、また、お昼休みバレーしようよ。」
ってパルちゃんが声をかけてくれた。
「いいよ。一緒にしよう。」
陽斗君は笑顔で答えてくれた。
「美桜も一緒でいい?」
パルちゃんが聞いてくれた。
私は、陽斗君の返事を聞くのが怖かった。
祈るような気持ちで手を組んでいた。
「もちろん、いいよ。」
私はものすごく嬉しかった。
その日から、また、お昼休みは、一緒にバレーボールをするようになった。
はじめはね。美桜ちゃんと香月君がくっつく予定だったんだけど、いろいろあって、陽斗君と仲直りしました。
遠回りしたけど、物語の中のお二人は
これからうまくゆくのですね