最期の夜月
- カテゴリ:自作小説
- 2025/03/26 00:39:54
第十二章
私は煙草を1本取り出し火を点けた。彼と煙草を吸いながら、他愛もない話をした。…大体がこの先の事だったが…。…「肇さんは、元彼さんとは鉢合わせる事は無い?」とずっと気掛かりだった事を尋ねてみた。ほんの数分彼は考える様に少しばかり沈黙を置き、…「…うん、あの人夜職の人で、僕は昼のバイトしてるから完全に鉢合わせる事はないと思ってる…」そう言っていた。…「そっか、でも居候して貰うのに此処にいても不安要素とかないかな?」…「うん、大丈夫、あの人の行動パターンは把握してるからね…ありがと、美月さん」…「全然だよ」私は色々と気掛かりだった事が少しづつ解けていくかの様に安心してしまた。…「ねぇ、肇さん?」…「ん?どうしました?」…「荷物とか、どうするの?」…「あぁ…そうだね、どうしよう…」と考え込み始めた彼を見て、…「元彼さんと鉢合う事が無ければ、ちょこちょこ私の部屋に持っておいでよ?」と彼へと提案してみた。…「凄い助かります、美月さんって凄い優しいよね」…「いやいや、そんな事はないけどね」と笑ってみせた。…「それじゃあ、お言葉に甘えさせて貰って、必要最低限の物だけ美月さんの部屋に運ばせて貰うね」と言っている彼がいた。
そんな事を話している間にお湯が沸騰し始め、…「あ、そろそろうどん入れようか」と私は彼へと伝える。…「あっ、ほんとだね、うどん茹でるよ?」…「うん、そうして」と何とも穏やかな時間が流れている様だった。私は適量の山菜をレンジにかけ、温め始めていた。…「うどん、9分だって」とにこやかに笑う彼の笑顔に癒されながら、…「そこにタイマーあるから、設定して良いよ」と私まで笑みが零れ落ちる。…不思議な感覚だ、私ってこんなに笑うタイプだったけ?と考えてしまう…考え出すと煙草へと手が伸びる私は煙草へと火を点けていた。…「美月さんって凄い煙草が似合う人だね」と唐突に言われた事に少し驚き、…「そう?ありがとね」と返事をしていた。冷凍だった山菜も良い感じに温まった頃、…「美月さん、うどんそろそろ茹で上がりそうだよ」と彼は私へと伝えてくれる。…「あーえっとね、鍋達があった場所にざるがあるから取って貰える?」と彼へと言うと、…「分かった!…ざるの場所…っと」と探し始めた彼だ。
…「あぁ、発見!」と楽し気に笑う彼に嬉しくもあり、ホッとする感覚を覚える私だ。…「じゃあ、こっから先は私が作ろうかな」と疲れてしまっていないかと彼の身体の具合が気になり、…「もう少しで出来るから、テーブルに座ってて良いよ」と彼の行動を促した。…「あ、ありがとう、美月さん」そう言った彼はテーブルへと向かった。…素直な子だな…と私はうどんの盛り付けをしつつ彼の行動一つ一つに目を向ける。麵つゆに沸かしてあったお湯を入れ、うどんを入れる。トッピングには山菜を盛り付け、…「肇さん、うどん出来たよ」と伝えると、…「あ、僕運ぶ!」とぼんやりとしていた彼は、何処かしら朧気に考えていた様子から一気に現実へと戻ってきていた。…「うわぁ、凄い美味しそうだね!」…「でしょ?…ふふ」とこれからの食事を楽しもうとしている時間になりそうになっていた。時刻は21時45分辺りを示していた。
紫月さんの描写は読みやすいですね
よく考えて書かれてるんだなあって感心します
自分が作った物って安心して食べられますよね
煙草も受け入れてもらえるとホッとするのわかります
肇さんが自暴自棄にならずここまでこれたのは美月さんのおかげですね
美月さんも思わず声をかけた何かが肇さんにはあったのかもしれない
出会うべきして二人は出会ったのかもしれないですね