【お話】ひさかたの。
- カテゴリ:コーデ広場
- 2025/03/18 08:37:40
ひさかたの 光のどけき春の日に 静心なく花の散るらむ。
紀友則
春が近くなると、この一首を思い出す。
まだ梅も開いていないのに、桜の幻想を思う。
花の散るのを惜しむような、
それでいて、その光景を称賛しているような、
さまざまな心の動きを、散る花に重ねて、
季節が廻ったのだと。
何かが終わって、何かが始まるのだと。
そう言っている歌。
この宿も、長く逗留していたけれど、
そろそろだ。
歩き出す時が来た。
でも、もうしばらく。
散る花と、ここにとどまっていた時間を惜しんで。
懐かしんで。
感謝して。
光を感じていよう。
旅立つ者に宿の者が、好意で準備してくれた、
一杯のお茶を、飲み干すまで。
***
ゴシック風の服って、なぜか汽車とか駅とか思ってしまう。旅の途中、宿に長逗留した感じ。
まだうちは、梅も咲いていないのですが、背景の桜の散る様子から、「ひさかたの…」の歌を思い出したので。