【小説】初恋 その⑦ 夏祭り
- カテゴリ:自作小説
- 2025/03/08 11:30:15
――――お祭り
今日は近くの神社で夏祭りが催されていた。
私はお母さんに浴衣を着せてもらい、麻美たちとお祭りに行った。
夏祭りーーーーテンションあがる♡
中山君たちも夏祭り来ないかな。
中山君たちの家から、ちょっと遠いから来ないか。
小さな神社のお祭りだし...わざわざ来ないよね。
「よっ、島田の奥さん、孫にも衣装だな。」
あっ、中山君たちだ♡
中山君の私服姿、はじめて見る♡
無理言って浴衣着てきてよかった♡
「あれ?島田君は?」
いつも一緒にいるのにいないから不思議に思って訊いてみた。
「あいつ、彼女と来てるはずだぜ。」
「えっ~~~~~~~~~!!!!!!!!」
私は言葉がでなかった!
「彼女いてるのに、島田君の奥さんって、私のこと言ってたのぉ!?」
「まあ、深く気にするな。」
中山君は鼻の頭をかきながら、少し上ずった声で、
「星野、よかったら、一緒に露店、回るか?」
意外なお誘いだった。
「中山君と二人で?--;」
中山君はいたずらっぽい顔で言った。
「やっぱり、笹野とがいいか?」
「中山君って古傷(?)えぐるよねーー;」
「金魚取ってやるから、来いよ♡」
「しばらく、星野借りるな。」
私の友達にそう言って私の手を引っ張て連れて行った。
麻美たちは、あっけにとられてた。
手、繋いでるーーーーーー
私は真っ赤になってた。耳まで真っ赤になってた。
金魚すくいーーーー
一匹も救えず紙ポイを破いている中山君w
「ダメやん(笑)」
「うるさいな。今度こそ救ってやるから、待ってろ。」
5回目くらいにやっと15匹救えて、一匹の金魚を手に入れた。
「ありがとう♡」
私は中山君のすくってくれた金魚を愛おしく見ていた。
「あっ、わたがしだ♡食べたいな♡」
中山君はわたがしを買ってきてくれた。
「わぁ、ありがとう♡」
「中山君も どうぞ♡」
あ~んしてる中山君の口にわたがしと入れた。
「あーーー、射的がある♡あのクマさん、欲しいな♡」
「今度は、金魚すくいの汚名返上で一発で取ってやるよ。」
バーーーーン!!
「やったぁ♡」
本当に、一発で倒した!
「すごい♡ありがとう♡」
私と中山君がなかなか戻らなかったから、麻美たちは先に帰ったようだった。
中山君は
「遅くまで連れまわして悪かったな。お詫びに送っていくわ。」
夜道を中山君と二人で歩いて帰った。
中山君に聞こえるんじゃないかってくらい、胸がドキドキしていた。
中山君がポツリと言った。
「浴衣、似合ってるやん。」
「今頃~~~~~?」
なんか、中山君の言葉で、ドキドキが落ち着いて、普通にしゃべれるようになった。
「クスッ、ありがとう♡」
「今日は素直やん(笑)」
「わかがしごちそうになったし、金魚とくまさん取ってもらったし♡」
私はとびっきりの笑顔で
「今日は、ありがとう、すっごく楽しかった♡」
見間違えじゃなかったら、中山君、少し赤くなってた。
「星野、おまえ今でも笹野のこと好きなのか?」
「えっ?なんで?」
「言いたくないんだったら別にいいよ。」
「今日も、本当は笹野と露店まわりたかったのかなって...」
「もし、そうだったら、悪いことしたなって思ってさ。」
なんか、いつもの中山君じゃないみたい。かわいい♡
「忘れてない?私、笹野君にはフラれてるんだよ(笑)」
私は中山君の顔を見ながら言った。
「中山君と一緒でたのしかったよ♡」
「送ってくれてありがとう。」
中山君は私の頭をポンと叩いて、
「また、夏休み明け、学校でな。」
私は中山君が見えんくなるまで見送った。
私は、家に帰って、小さな水槽に金魚を入れて、ぽーーーっと、見て、今日のことを思い出してた。
クマのぬいぐるみに『中山君』って名付けたことは内緒にしておこう。
金魚とクマの無為ぐるみは、今日から、私の一番のお気に入りになった。