【小説】 初恋 その③ 島田君の奥さん
- カテゴリ:自作小説
- 2025/03/08 09:29:50
――――放課後
「島田の奥さ~ん!元気?」
いつからだっただろう。放課後、たむろしている廊下の端から、私のことをそう呼ぶ中山君がいた。
私は中山君のところまで行って、
「私は島田君の奥さんじゃありません!」
「彼女でもなければ、付き合ってもいません!」
って言って怒った。
「またまた~、島田の奥さんは怒りん坊だね(笑)」
「だから!違うっていってるでしょ!」
そう言われている、島田君もそこに居るわけで、なにも言わずにただただ、笑ってるだけだった。
私はといえば、『島田君の奥さん』っていうのは、ひっかかるけど、中山君が話しかけてくれるのは、嬉しかったりして。
でも、それはそれ。これはこれ。
「島田君からも何とか言ってよ!」
私は島田君に助けを求めた。
そしたら、島田君は
「あっ、星野さんにフラれた(笑)」
って言って、余計ややこしくなる。
「でも、そうやってじゃれ合ってる中山と星野さん見てると、君たちの方は夫婦に見えるよ(笑)」
って島田君が言ってきた。
私は、真っ赤になって、
「こんな意地悪な人と夫婦になりません!」
中山君もちょっと照れた感じで
「俺もこんな怒りん坊の奥さんいらんわ。」
私の友達は、廊下の端からその様子を見てるだけだった。
今思えば、呆れられてるか、嫉妬されてたんだと思う。
もう一つ不思議なのは、中山君が私をからかうのは放課後だけで、同じクラスだけど、教室では喋りかけても来ない。
そんなとき、友達の麻美が教えてくれた。
「中山君、クレスメートの金子さんと付き合ってるらしいよ。」
え~~~~~~~~~~~~~~っ!
失恋決定!?
だから、金子さんのいる教室では、女子とあんまりしゃべらないんだな。
でもでも、金子さんと仲良くしてるとこなんか見たことないよ。
それに、帰りだって、中山君、男友達と帰ってるしーーーー
麻美の勘違いってこともあるよね?
かすかな希望を捨てきれない私がいた。
「島田の奥さ~~ん!」
ほら、今日だって中山君が、からかってくるじゃない。
「だから!島田君の奥さんじゃないって言ってるでしょ!」
中山君はさらにからかってくる。
「島田の奴、最近、遊びにだしてくれないって、泣いたで。」
「私は、島田君のこと、監禁してません!」
ある時は、
「島田がごはん作ってくれへんって泣いてたで。」
って言ってからかってきた。
「だから、島田君の奥さんじゃないから、ごはんも作りません!」
でも、どうして、私をからかうんだろう...?
麻美みたいに可愛い訳でっもないし、よしえみたいに明るい訳でもないのに...。
私なんかからかって楽しんだろうか?
私は思い切って訊いてみた。
「中山君は、どうして、私をからかうの?!」
「ん?反応が楽しいから♡」
しっかり、楽しまれてることは確かなんだ。。。_| ̄|○