【所説】 初恋 その① 卒業式
- カテゴリ:自作小説
- 2025/03/07 22:05:20
3月14日 早咲きの桜が満開だった。
今日は娘の千夏の中学校の卒業式だ。
私は、川崎しずく。38歳。
私も24年前、この中学校を卒業した。
「ママ~!萌香ちゃんたちと、プリクラ撮ってから帰るから、先に帰ってて。」
「はいはい。あんまり遅くならないようにね。」
娘を見送って、帰ろうとしたら、後ろから、誰かに呼ばれた。
「星野?」
星野は、私の旧姓だ。
ふり返ると、見覚えのある顔がそこにあった。
「中山君?」
少し老けたけど(ごめん)相変わらずかっこいい♡
中山君は、私が中学3年生のときにクラスメートだ。
「うわぁ♡懐かしい♡」
「中学卒業以来だから、24年ぶりかぁ。」
「私、今は川崎になったよ。」
「中山君もここにいるってことは、卒業生の子供がいるんだね。」
私は周りをきょろきょろして訊いた。
「ん?奥さんは?」
少し照れたような顔で、
「インフルエンザで、急きょ、ピンチシッターや。」
「おまえに奥さんとか言われると、変な感じやわ。」
「ところで、おまえの子供は?」
「友達とプリクラ撮りに行った。」
「いまだに、プリクラって流行ってんのかな?」
「そういう、中山君の子供は?」
「彼女と帰るんだってさ。」
「へーえへーえへーえ。」
「なんだよ?」
「男の子なんだね?子供。」
「なあ、せっかくやし、俺たちの教室行ってみないか?」
「うん♡」
――――24年前の3年5組の教室
「うわぁ、懐かしい♡」
「さすがに古びたな。」
「見てみて、まだ、あの頃の落書き残ってるよ^^」
私は中学生の頃のことを思い出していた。
「あの頃ってさ、中山君私のこと『島田の奥さん』ってからかってたよね。」