【小説】ガラスの少女 その⑪ お互いの気持ち
- カテゴリ:自作小説
- 2025/03/05 17:09:06
――――病院
私の部屋は角の一人部屋でした。
本当は、精神科への転院を勧められたのですが、遠くになって浩平に会えなくなるのが嫌で、このまま学校の近くのこの病院でお世話になることにしました。
面会時間も無理を言って夜の8時までにのばしてもらいました。
その代わり、カウンセリングを受けることになりました。
小さな病院で、医院長がいい人で、聞いてもらえたわがままです。
浩平は看板係の手伝いと、生徒会のお仕事で夜に1時間くらいしか来てくれないけど、いろんな話をしました。
コンコン
「浩平♡」
「湖桃、調子はどうだい。」
「もう、大丈夫よ。浩平がいてくれてるから、死にたいなんて思わなくなったし。」
浩平が恥ずかしそうに話してくれました。
「湖桃、君が転校して来たときに、僕は、君に一目惚れしたんだよ。」
はじめて聞いた浩平からの告白でした。
「みんなにとけこめない君が心配で、僕が構い過ぎたせいで、伊藤さんたちにいじめられて、悪かったと思っている。」
「ただ、いじめられてる君が壊れそうで、どうしていいのかわからなくて、大地達みたいに、君をいじめる奴らを怒れなくて、どう接したらいいかわからなくなって...」
「本当に、つらい思いをさせて、ごめんな...」
こんな弱くてダメな私をこんなに思っていてくれることが嬉しかった...
「浩平、私もね、前の学校でいじめられてたから、みんなが怖かったの。」
「でもね、浩平だけは、はじめから、大丈夫だったの。」
「今思えば、私も浩平に一目惚れしてたのかも知れない。」
私はしばらく考えて浩平に私の考えを話してみました。
「あのね、浩平、私、退院したら、S高等学校に戻ろうと思うの。」
「えっ?大丈夫なのか?」
浩平はびっくりしてたけどうれしそうにしてくれました。
「お父さんとお母さんは、転校を勧めてくれたけど...」
「うわさなんて、何処へ行っても広まるわ。」
「それなら、浩平のそばがいい。」
私はうつむいて、続けました。
「これって、やっぱり、浩平に依存してるのかな?」
浩平は私のほほを優しく触って、私の顔を自分の方に向けて、こう言ってくれました。
「依存じゃないよ。」
「二人で強くなろう。」
そのあと、お父さんともお母さんとも浩平を交えて、何回も話し合いました。
そして、私はS高等学校にもどることに決めました。