【小説】ガラスの少女 その⑪ 病院
- カテゴリ:自作小説
- 2025/03/03 23:52:18
――――病院
気が付くと、私は病室のベットに寝かされていました。
愛里ちゃんと浅倉さんがいました。
「湖桃先輩、大丈夫ですか?」
愛里ちゃんが聞いてくれました。
私は左手にまかれた包帯を見て、自分のしたことを思い出しました。
そして、ひとりぼっちだと...
私は、もうどうしていいのかわからなくなりました。
涙がとめどなく流れ落ちました。
ただただ、浩平の名前を呼び続けました。
「湖桃先輩!梶先輩は来ますから、落ち着いてください。」
「傷、痛みませんか?」
バタバタバタ!
「病院の中を走ってはいけませんよ!」
病室の外から看護師さんの声が聞こえてきました。
バーン!
ドアを開けて入ってきたのは浩平と大地君でした。
「浩平!」
「湖桃!」
浩平は私をしっかり抱きしめてくれました。
「もう、大丈夫だから!僕は何処にもいかないから!」
「これからは、ちゃんと、湖桃のこと守るから。」
「ずっと、一緒にいてるから。」
私は浩平の腕の中で泣きました。
私が少し落ち着いたころに、お父さんとお母さんが来てくれました。
お母さんは泣きながら私を抱きしめてくれました。
浩平は私の両親に謝っていました。
「僕が至らないせいで、湖桃さんのこと傷つけてしまいました。申し訳ありません。」
「いいえ、娘から浩平さんのことは聞いています。いつも娘によくしていただいて、ありがとうございます。」
私は安定剤のおかげもあって、だいぶん、落ち着きました。
その様子をみて、大地君と愛里ちゃんと浅倉さんは部屋をでていきました。
「お父さんお母さん、お願い。浩平と二人にして...」
お父さんとお母さんは心配しながらも、二人にすることにしてくれました。
「浩平...ごめんなさい。」
「湖桃、傷は痛まないか?」
「薬が効いてるみたい。大丈夫よ。」
「これからは湖桃の気持ち、ちゃんと話して欲しいんだ。」
「大地がなに言ったかは知らないけど、僕は湖桃が好きなんだ。」
「僕が弱いせいで、湖桃を悲しませて、ごめんな。」
「これからは、ふたりで強くなろう。」
浩平の言葉の一つ一つが嬉しかったんです。
浩平はずっと私の手を握っててくれました。
ありがとうございます。