【小説】ガラスの少女 その⑧ 別れの結末
- カテゴリ:自作小説
- 2025/03/03 17:31:58
――――3年10組の前の廊下
私は大泣きして泣き崩れました。
大地君はそんな私を抱きかかえるように連れて行きました。
「大地君のばか!!!!」
「どうして浩平と別れさすのよ!!!!」
私は大地君の胸をドンドン叩き泣きました。
大地君はその両手をしっかり握り、こう言いました。
「湖桃...おまえ、今の浩平と居て、本当に幸せなのか?」
「えっ?」
「浩平も幸せそうか?」
「それでも、私は浩平といたいのよ!!!!」
私は泣き叫びながら訴えました。
「それは、おまえのわがままだ。」
大地君は冷たく言いました。
「なあ、湖桃、どうして、俺には自分の意見言えるのに、浩平には言わないんだ?」
「本当は、伊藤と仲良くなんかしてほしくないんだろ?」
「なぜ、それを浩平に言わなかったんだ?」
私は目を泳がせながら答えました。
「浩平が離れていくのがこわかったから...」
「私が我慢すれば、浩平は私のそばにいてくれる...」
私は大地君をにらみつけました。
「浩平がかわいそうだとは思わなかったのか?」
「浩平がかわいそう...?」
「私のせいで...?」
「おまえたちの関係って、おまえが梶に依存してるだけだよ。」
私は全身の血の気が引きました。
「前の学校でもいじめられてたんだよな?」
「おまえが変わらないと、また、いじめられるぞ。」
大地君は容赦なく話を続けました。
「一人で頑張ってみろよ。」
「俺も、助けてやるから。」
「大地君...」
「浩平の代わりに私を守ってくれるの?」
「守ってやるが、梶の代わりにはなれない。」
「俺は、おまえの彼氏にもなれないし、付き合いもしない。」
私はまた、泣き叫びました。
「学校では、私と居てくれる?でないと、私、死ぬから!」
私の瞳は狂気に満ちていたのかも知れない。
私の中の何かが変わりました。
大地君は疲れ切ったように、承諾してくれました。
――――湖桃の家
私は無言で家に入りました。
大地君がお母さんと何か話していました。
「湖桃...」
お母さんは私を抱きしめてくれました。
きっと、大地君が今日のことお母さんに話たんだと思いました。