Nicotto Town



【小説】ガラスの少女 その⑦ 別れの宣告



――――3年10組の教室

いったん帰りかけた愛里ちゃんが戻ってきてくれました。
大地君は、冷たく愛里ちゃんに帰るようにいいました。
でも、私は愛里ちゃんにいて欲しいとお願いしました。

「平松、残ってても気持ちのいい話じゃないぞ!」
大地君は冷たく言いました。
愛里ちゃんは無言でうなずきました。

大地君の言葉は想像もしていないものでした。

「梶、おまえ湖桃のこと守れないなら、別れろよ。」

えっ?私は一瞬大地君が何を言ったか理解できませんでした。
別れる?私と浩平が?どうして?

愛里ちゃんの言葉も信じられませんでした。

「私もそう思います。梶先輩が湖桃先輩を悲しませているように見えます。」

浩平が私を悲しませている?
そんなことないわ。

「湖桃先輩がいてるのに、他の女性と仲良くしてるなんて信じられません。」

私は恐る恐るいいました。
「それは、私がいじめられないために浩平がしてくれていることです。」
「私は、それでいいと思っています。」
「私は浩平のことが好きです。」

私はこんなに自分の意見を話してることにビックリしました。
それだけ、浩平が大切だったんです。

愛里ちゃんが浩平に聞きました。
「どうして、梶先輩は湖桃先輩を守らないんですか?」
浩平は黙ってうつむくだけでした。

大地君は冷たい言葉で浩平を責めました。」
「こいつ、自分が傷つきたくないだけなんだよ。」
「誰にも嫌われたくないんだよ。」
「だから、誰に対しても怒れないんだよ。」

私は浩平をかばいました。
「でも、私の机に落書きされたとき、伊藤さんを怒鳴ってくれました。」

大地君はまだ、浩平を責めました。
「あれで、怒鳴るのがこわくなったんだよな?梶は。」

「ぼくは、大地や愛里ちゃんのように人を怒鳴れないんだ。」
「怒鳴らない...それは、梶先輩のいいところだと思います。」
「そんな梶先輩だから私も好きになりました。」
愛里ちゃんが浩平をかばってくれたけど、大地君は、まだ、浩平を責めました。
「でも、違うよな!」
「湖桃をかばうと、さらに湖桃がいじめられる。」
「だからって、湖桃をいじめてる奴となかよくするか?」
私は泣きながら訴えました。
「今のままで、いいんです。二人でいる時の浩平は、本当に優しいんです。」

でも、浩平がやっと言った言葉はーーーーー

「湖桃...別れよう...」

パリ―ーン!!!!!!!

私の心は砕け散りました...

「浩平!私は、今のままでいいのよ!」

浩平は私の顔を見ずにはっきり言いました。
「悪い...そういうことだから、もう、送ってやれない。」

「大地、湖桃のこと、頼んでもいいか?」

私は半狂乱になって暴れました。
でも、浩平は、私に構うことなく、背を向けて、ただ、立ちすくんでいました。

「湖桃...帰るぞ。」
大地君が私の腕をつかんで、教室を出ました。






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