Nicotto Town



【小説】ガラスの少女 その② いじめのはじまり



――――転校初日のお昼休み

「池田さん、お弁当?一緒に食べない?」
クラスの女子が声をかけたけど、
「...いいです。私、自分の席で食べますので...」
私は誰かと食べるなんて、怖くてできなかったんです。

前の学校は給食で班で食べていたんだけど、
「パンさぁ、みんなでちがう食べ方しない?」
「私、上から食べていく♡」
「私は、下から食べるわ♡」
「私は、ちぎりながら食べるわ♡」
「池田は、犬みたいに横からかぶりつきなさい。」
「あははは!」
前の学校で、いじめられていたんで、誰かとご飯を食べるのが怖かったんです。

私がお弁当を食べ終わると梶君が声をかけてきてくれました。
「池田さん、校内、案内するよ。おいで。」
私は、梶君だけは、なぜか怖くなかったんです。
一緒に校内を見て回って回りました。

――――校内案内

「お手洗いは、廊下の一番端だよ。」
「お手洗いから案内するんですか?(クスッ)」
「あっ、池田さん、笑ってたほうがかわいいよ。」
「お手洗い、一番大事だろ?w」
梶君はいたずらっ子みたいな笑顔でそういいました。
「こっちの廊下の向こうは、十字堂っていって、3階から、生徒会室、書道室、美術室、社会科教室、科学室、生物室ってあるんだ。」
「僕、一応、生徒会長しているから教室にいなかったら、ここ、生徒会室にいるよ。」
「で、校舎の向こう側に体育館と食堂と購買部があるんだよ。」
「他にも色々あるけど、また、追々、案内するよ。」
梶君は、とてもやさしい瞳でやさしいしゃべり方をする人でした。
私は、この調子で、普通の高校生活が送れるんじゃないかって思いました。

でも、その様子を快く思っていない人がいました。

そうして、一週間もたたないうちに、私が前の学校でいじめられていて、転校して来たんだってことがうわさになりました。

珍しく、私の席に女の子たちがきました。
「池田さん、前の学校で、いじめられていたんですって(笑)」
「わかるわ~、池田さんってバリバリ陰キャラだものね(笑)」
「でも、梶君に媚びるのは上手だよね~」
梶君がそこに居ないことをいいことに、クラスメートの伊藤さんたちが、
私に嫌味を言ってきました。
そこに梶君が戻ってきて、伊藤さんたちは、どこかへ行ってしまいました。

これが、この学校で、私がいじめがはじめられた瞬間でした。




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