Nicotto Town


なるべく気楽に気楽に~!


最期の夜月

第五章

風呂から上がった彼は同じ服を着ていた。…あぁ、そうか…着替え…体の小さかった彼に私は、…「あの、もし良かったら、私の大きめの服着ますか?」と尋ねた。
彼は…「…あぁ…えっと…」と口籠る彼を見て、…「遠慮はなしにしましょ?…ね?」と私は初めて彼へと笑顔で接した様に思う。…「…あ、はい…それじゃあ、お願いします」とまだまだ遠慮感は抜けない儘、彼は言葉にした。…「分かりました、少し待ってて下さいね」と私は伝えた後、寝室へと寝巻になりそうな物を探した。私は分かり易い程、仕事の服と家の部屋着を分けていた。仕事着は成るべくピシッとした物を好み、部屋では自分の体形が分からない程大きな服を好んで着ていた。…えーっと肇さんに合いそうな服っと…と色々と出してみては、考えまた仕舞っては出してを繰り返し、結局3コーデ程の服を選びに選んだが、自分では判断出来なくなってきた為、肇さんに選んで貰う事にした。
私は寝室から少し顔を出し、…「あの…肇さん、どの服が良いのか分かんなくなっちゃって…」と私は羞恥心と共に苦笑いをしていたと思う。…「良ければどれが良いのか一緒に選んで頂けますか?」と彼へと伝えた。彼は、どことなく「寝室」に恐怖感があったかもしれない。不安気な顔をしているのが分かった私は、…「変な事はしませんよ、ほら」と、ダボっとした部屋着姿の私を見せ、笑った。…「ふはは…ありがとうございます」と彼も彼なりに笑ってくれていた様に思う。…「それじゃあ、少し…お邪魔しますね…」と彼を招き入れる事になった。…「一応、3コーデ的な物を作ってみたのですが…」と私が言うと、…「おぉ、何かカッコいい感じなんですね、美月さんて」とクスクスと笑っていた。何だか気恥ずかしくなった私は…「…やめてくださいよぉ」と小さな反論しか出来なかった。
彼は、「僕、このコーデ好きです…」と指差した服は全身真っ黒の首元迄立ち上がっている上下セットフード付きのスウェットだった。




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