最期の夜月
- カテゴリ:自作小説
- 2025/02/24 22:00:37
第四章
肇さんは色んな事を話し続けてくれていた。私は、しっかりと頭に入れるかのように肇さんの一言一句を見逃さない様に話を聞き続けた。時刻はすっかり朝の5時を廻ろうとしている時間だ。…「肇さん、無理なされていませんか?…少し眠った方が良いかと思うんですが、眠れそうもありませんか?」…「あーすいません、ぐちゃぐちゃとお話し相手になって頂きまして…」…「いえいえ、全然ですよ…少し休憩でもしましょう」私は肇さんに少しでもゆっくりして貰いたかったのだろう。…「もし、まだ体や脳が休まっていないのなら、少し気分転換にでもお風呂浸かりますか?」と私なりの提案を出してみた次第である。…「そんな至れり尽くせりで良いんですか?ご迷惑じゃないですかね?」彼はとても不安そうな顔をしながら、私へと言葉を紡いでくれている様に感じた。…「私の事はあまりお気になさらずに、今は甘えて下さい、是非とも」と、彼へと伝えると、肇さんは肩の力がふっと抜けた様に感じ取れた私がいた。…「あの、それじゃあお言葉に甘えさせて頂いて良いですかね?」と彼は彼なりの精一杯の甘えを伝えてくれた。…「もし、良かったらお風呂に入らせて貰いたいです…」と素直に思っている事を私へと伝えてくれた。…「分かりました、これから30分位でお風呂溜めて来るので、少々待ってて下さいね」と彼へと伝え、…「本当にすみません…」と落ち込み始めた彼を見て、…「大丈夫ですよ」そう伝え、少し横になる事を勧め、…「兎に角温まって下さい」と私は彼に白湯を入れ続けた。彼はかなりぼーっとソファに倒れる様にして座り、…「ありがとうございます、美月さん」と言ってくれていた。…風呂の湯を溜め始めて20分頃、肇さんは…「少し横にならせて貰っても良いですか?」と尋ねて来た。…「勿論です、肇さんのリラックス出来る体制で居て下さいね」と、私が声を掛けると、ゆっくりではあるが…「ありがとうございます…」と私へと言い、ソファへと倒れこんで行く彼がいた。私は煙草へと火を点け、彼を観察し続ける。
…少し呼吸が深くなってきたかな…そんな事を思いながら、換気扇の下で煙草をふかし続けた。1本分の煙草を吸い終わった私は…そろそろ風呂沸いたかな…と風呂場へと様子を見に行った。…そろそろ溜まるかな…そう湯を見て、リビングへと戻った次第である。
暫く時間が経った頃、湯が溜まった事を知らせるチャイムが鳴った。私は肇さんの負担にならない様に…「肇さん?起きてらっしゃいます?」と小さな声で声を掛けた。…「あぁ、美月さん…起きてます…」ぼんやりと答える彼に対し、…「お風呂浸かれそうですか?」と尋ねた。彼は数分黙り込んだまま、ゆっくりと身体を起こし、「お風呂迄、ありがとうございます…甘えてばかりですみません」…「いえいえ」と彼へと返し、…「お風呂頂いちゃっても大丈夫ですか?」と聞いてきた。私は…「勿論です」と即答し、…「肇さんのペースで大丈夫なので、お風呂浸かって来て下さいね、お風呂場はここです」とソファから見て、右側のドアを指差した。…「分かりました、本当にありがとうございます…」と身体を起こした儘、ボーッとしている様子だった。その後、15分程彼はぼんやりとしつつ風呂へと向かっていった。