【小説】愛里の恋2 その⑫ 応援団の練習2
- カテゴリ:自作小説
- 2025/02/17 23:46:10
――――放課後
――――グラウンド
応援団の練習のためにみんな集まっている。
少し不安そうにしてる私を見つけて浅倉先輩が声をかけてきてくれた。
「平松さん、ちゃんと来れたわね。」
「朝倉先輩、昨日は色々あって、動画も見れてないしプリントも覚えてきてません。」
「すみません。」
「いいのよ。事情はある程度、把握してるわ。」
「ちゃんと来てくれて、うれしいわ。」
「練習はじめるぞ!」
高橋先輩が来た。
ほっとした。
湖桃先輩のことほっとけなくって、看板係手伝いに行くんじゃないかと思ってたから...
それはそうと、高橋先輩、昨日のこと浅倉先輩に話したのかな。
あーーーーーーーっ!
だめだめ!
今は応援団の練習に集中しなきゃ!
練習をしていってわかったことがある。
高橋先輩との絡みが多い役なんだ。
掛け声かけなきゃいけない場面もあるし...
大丈夫か?私...
「平松!そこ、右からじゃなくって左から来い!」
「はい!」
とんいかく、頑張る!
高橋先輩の期待に応えたい!
「ちょっと早いけど、今日の全体練習はここまでにする。」
「この後、男子は、小松公園に行って例の練習をするぞ!」
浅倉先輩が声をかけてきた。
「私も行くんだけど、平松さんも来ない?」
「話したいこともあるし。」
「あの、やよいも一緒にいいですか?」
浅倉先輩は少し考え込んだけどOKしてくれた。
ーーーー小松公園
「女子のチアガールでも、3段ピラミットやるんだから、男の俺らに出来ないはずはないんだ!がんばって行こ!」
「おう!」
「朝倉先輩、愛里、差し入れ♡」
やよいがポカリスエットを3本持ってきた。
「途中でいなくなったと思ったら、ありがとう♡山内さん(やよいの苗字)」
「それで話って言うのは、看板係のことなんだけど、池田さん(湖桃先輩の苗字)には、やめてもらうことになったの。荷が重そうだからね。」
「そうなんですか...」
「代わりに梶君に仕切ってもらうことになったわ。」
「あなた達が気にしてるようだから、話しておこうと思ってね。」
「朝倉先輩は、昨日のこと、高橋先輩に聞いたんですか?」
「大雑把に相談されたの。」
「あなた...あ、あなた達が応援団に専念できるようにってね。」
「どうして、そこまでして私達に応援団さしたいんですか?」
「さあ、高橋君に聞いてみれば(笑)」
浅倉先輩は立ち上がって
「ほらほら、疲れてるのわかるけど、集中しないと怪我するわよ。」
やよいがぼそっと言った。
「朝倉先輩って素敵だよね。高橋先輩と付き合ってるのかな...」
そこに湖桃先輩が来た。
「大地君。そろそろ終わるころだと思って来ちゃった。」
浅倉先輩は間髪いれずに
「池田さん、練習の邪魔だから、ひとりで帰ってくれない。」
それに気が付いた高橋先輩が
「湖桃、一緒に帰れないって言っただろ。」
「おまえのこと、守ってやるとは言ったが、付き合う気はない。」
パシーン
思わず、私は高橋先輩を叩いてしまった。
「二人がどんな約束したか知らないけど、大勢の人前で言っていいことと悪いことがあるでしょ!」
「愛里ちゃん...」
湖桃先輩は、今度は私に泣きついてきた。
高橋先輩は怒って、練習をやめた。
「今日の練習はここまで!」
「平松、学校に戻るぞ!」
高橋先輩は、私の腕をつかんで連れて帰った。
残されたやよいのことを浅倉先輩は気を使って声をかけた。
「山内さん、大丈夫?」
やよいは気丈に答えた。
「高橋先輩の気持ちは、なんとなくわかってましたから。」
「山内さんは強いわね。」
「みんな!私たちも帰るわよ!」
湖桃先輩は公園に一人取り残された。