Nicotto Town



【小説】愛里の恋2 その⑤ 帰り道2



――――3年10組

「梶、湖桃、俺ら、先に帰るぞ。」
高橋先輩が私とやよいを連れて教室を出た。

「高橋先輩、私、自転車だから、ひとりで大丈夫です。」
私はそういったんだけど、
「話したい事あるから、送るよ。自転車は俺が押して行ってやるから。」
「やよいちゃんは、どこ?」
「私は電車通学なんです。」
「じゃまず、やよいちゃんを駅まで送ってから、平松送るよ。」
「ちょっと遠回りになるけど大丈夫だろう?」
なんか、勝手に話が決まっちゃった。

――――帰り道

自転車押してもらってるからか、やよい、私、高橋先輩の順で横並びで歩き出した。
まずい!
やよいを真ん中にしないと。
「それにしても、やよいちゃんすごいな。看板の下書き。」
高橋先輩がやよいのことを話題にしてくれた。
私は、今だと思ってやよいを真ん中に押しやった。
「そうでしょ。絵のことならやよいに任せてって感じでしょ。」
やった!やよいと高橋先輩を隣同士に出来た♡
「あんなに上手だったら看板係お願いしたいくらいだよ。」
高橋先輩がやよいの顔を覗き込む。
モジモジするやよいが可愛かった。
しゃべんないやよいの代わりに私が話した。
「それは、ダメなんですよ。」
「ねえ、やよい。」
「なんで?やよいちゃん」
高橋先輩が不思議そうに聞いた。
「高橋先輩が応援団だからだよね。」
私は、ちょっと意地悪な顔でいっちゃった。
「えっ?」
高橋先輩がちょっとびっくりしてた。
「愛里、それ言っちゃだめ!」
真っ赤になって焦るやよいが可愛かった。
「俺目当てだったら、うれしいけど、浅倉にばれたら、クビだぞw」
「そんなんじゃありません!純粋に応援団したいだけです!」
やよいは、真っ赤になりながら必死で言ってた。
そんな話をしていると駅について、やよいを見送った。
「気を付けて帰るんだよ。やよいちゃん。」
「高橋先輩、送ってくださってありがとうございます。」

「さてと、平松は、家どこ?」
「こっちです。」
なんか...高橋先輩とふたりっきりだとドキドキしてきた。
なんでーーーー?
「梶と湖桃のことだけど、梶が優しくない訳じゃないんだよ。」
「えっ?」
「胡桃は6月に転校してきて、ああいう性格だから、大人しいっていうか、少し陰キャラだろ?言いたいことも言えない感じで、クラスになじめなかったんだ。」
「そのうち、いじめられるようになったんだ。」
「そんな湖桃をかばって、梶がいじめてる連中のこと怒鳴ったんだ。」
「梶先輩が怒鳴ったんですか?」
私は、びっくりした。
「梶は怒鳴るようなキャラじゃないから、みんなびっくりしてさ。」
「それで終わったらよかったんだけど、湖桃をいじめていた連中の中心の奴が梶の事すきだったもんだから、さらにいじめがひどくなったんだ。」
「それで、梶の奴、人前で湖桃を守れなくなったんだ。」
「だから、梶の事、悪く思わないでやってくれ。」
「梶は平松が好きになったままの梶だから。」
私は複雑な感情だった。
私の様子を見て、高橋先輩は茶化すように言ってきた。
「ところで、平松も俺目当てで応援団にはいったのか?(笑)」
「違います!やよいの付き添いです。」
少しほほが熱かった。
「やよいちゃんかぁ。可愛いよな。」
「でも、俺、好きな奴がいてるから、やよいちゃん、無理だぜ。」
「平松なら、歓迎だけどな(笑)」
「高橋先輩、どこまでが本気かわからないこと言わないでください!」
あせって、声が裏返った。
「あっ、高橋先輩、私の家ここだから、ありがとうございました。」
「明日から、本格的にみんなで練習はじめるから、遅れてくるなよ。」

ガチャ

家の中からママが出てきた。
「愛里?帰ってきたの?遅かったじゃない。」
高橋先輩に気が付いたママがからかうように言った。
「ん?愛里、彼氏?」
「ちがうーーーーー!」
高橋先輩は真面目な顔で、
「体育祭の準備で遅くなってしまいました。申し訳ありません。」
「あら、それでわざわざ送ってくださったの。ありがとう。」
「よかったら、お茶でも飲んでいかない?」
「ありがとうございます。でも、もう遅いので失礼します。」
高橋先輩を見送った後、ママが
「礼儀正しくっていい子じゃない。彼ならママも賛成よ。」
「だから、そんなんじゃないんだってば!」

ーーーー愛里の部屋

今日はいろんなことがあったな。
高橋先輩と二人きりって、梶先輩に告白した後、一緒に居てくれた時以来かな。
あのときは、こんなにドキドキしなかったな。
頼りになるお兄さん的な...
梶先輩の事、必死で話してくれたけど、今も、好きなのばれてるのかな。
でも、梶先輩が湖桃先輩慰めてても、嫉妬はしなかったな。
ああーーー、それより、やよいの事どうしよぉ
頭がグルグルして、気を失うように寝てしまった。




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