Nicotto Town



【小説】 愛里の恋 その⑦ 高橋先輩



ーーーー学校

――――1年生のろうか

「平松、おはよう。」 
高橋先輩が愛里の教室の前で待っていて挨拶してきた。
「また、高橋先輩ですか。」
「なんで、毎日、私の教室まで挨拶にくるんですか?」
高橋先輩はちょっと困った様子で
「梶がさ...心配してるんだよな。」
「えっ?」
その名前に敏感に反応してしまった。
「まだ、引きずってるんだろ?」
「前みたいに笑わないし。」
私は、確信をつかれてあせった。
「高橋先輩には関係ないでしょ!」
「相変わらず、俺には反抗的だな。」
「ちょっと、来いよ!」
高橋先輩は、私の腕をつかんで、人気のない屋上の階段の踊り場まで連れて行った。

ーーーー階段の踊り場

「まだ、梶の事好きなんだろ?」
「梶に告白してろよ。」
高橋先輩は真剣な顔で私にそう言ってきた。
「えっ?」
「失恋した相手にですか?」
「彼女のいるのわかってるのに、告白なんかしません!」
高橋先輩は、話を続けた。
「おまえ、自分でどうしていいのかわかってないだろ?」
「あきらめきれてないんだろ?」
私は泣きながら怒って、震えた声で言った。
「だから、どうして、告白しないといけないのよ!」
「けじめがつくだろ。自分の気持ちに。」
「わかった風に言わないでよ!」
「今日の放課後、中庭で梶が待ってるから!」

私はそのまま屋上に走って逃げた。
高橋先輩は追いかけてはこなかった。

ーーーー屋上

あ~あ、事業サボっちゃったじぁない。

梶先輩に告白...かぁ。
高橋先輩は私のこと思って言ってくれてるんだよね。
それは、わかるけど...
もう一回失恋しろって言うの?

私は、空を見上げた。

青くてきれいだな。

私の半年の想い、伝えたら、前に進める?

校舎に入ると、高橋先輩がいた。

私はぽつりとつぶやいた。
「また、失恋したら、ココアおごってくれる?」

私が告白する決心をしたことに気付いた高橋先輩は、だまってうなずいてくれた。







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