八犬伝
- カテゴリ:映画
- 2025/02/02 14:25:11
「八犬伝」、早くもAmazonPrimeのみ放題に登場したので、見ました。冒険活劇の八犬伝を期待すると外れ。
これは、南総里見八犬伝を書いている曲亭馬琴とその友達、葛飾北斎の話で、その劇中劇として八犬伝がはめ込まれた作品です。役所広司さんと内野聖陽さんの掛け合いが秀逸です。見る前にウィキペディアで馬琴や里見八犬伝について、予習しておいた方がいいです。いい映画なんだけど、こういう部分もあるので、海外ではヒットしないだろうな。
八犬伝自体は、特撮技術、CGも進化して、角川映画が撮ってた頃よりうんと素晴らしい出来になっています。「SHOGUN」にも引けを取らないかも、と思いますが、合間合間に盛り込まれたエピソード、たとえば芝居の四谷怪談を馬琴と北斎が見に行って、忠臣蔵に四谷怪談が挟まれているのは実話の間なとんでもない嘘話を挟み込むのはどうかとか、それを舞台の「奈落」で鶴屋南北に文句を言うとか、これ解説がないと普通の日本人でもわからない人が多いいんじゃないか。「奈落」は劇場や舞台の床下、地下室、特に回り舞台の装置のあるところ。奈落の底というのは、これがもともとの起源です。ここからダンジョンの奈落にまで落っこちたという話が生きてくるわけで。
僕は馬琴の目が見えなくなって、息子の嫁の路が漢字を学びながら代筆するあたりが好きでした。「失われた時を求めて」のプルーストと家政婦のセレステを思い出し出しました。あっちは、書き散らした原稿の整理の手伝いですが。この人は映画にもなっていますが、原稿がばらばらになるのでそれを継ぎ足し継ぎ足し貼り合わせていって、巻物みたいにしちゃったんですよね。
★★★★