Nicotto Town



蜘蛛と雲の夢紡ぎ

「あの蜘蛛の糸は、あなたのだったんですねぇ~。助けてくれてありがとうございますぅ~!」

「か、勘違いしないでよね!別にアンタのためじゃないんだからね!全然嬉しくなんてないんだから!」
蜘蛛女の「アラクネ・アルケニー」は、看護兵のマリア・アレックスに素直に礼を言われて照れくさかった。
「ツンデレな蜘蛛女さんだ~!ツンデレ、ツンデレ~♪」無邪気にはしゃぐラディカ。
「うっさい!ツンデレ言うな!
それに私は蜘蛛女じゃない!『アラクネ・アルケニー』って名前があるんだから!」
「アラクネ、アルケニー…どっちも蜘蛛に関する名前ね。さすが蜘蛛女」と、アツコ。
「それで、アルケニーさんは蜘蛛の糸をどこから出すんですかぁ?
口から吐くんですかぁ?それとも、お尻から出すんですかぁ?」
「え?そんなに知りたいの?蜘蛛の糸はね…こうやって出してるのよ!」
マリアの問いに答えるのと同時に、アルケニーは自身の背中にある8本の蜘蛛脚の先端から糸を射出した!
「おおっ、蜘蛛足の先っぽから出してたんですかぁ~…って、動けないですぅ~!」
アルケニーはあっという間にマリアたちを蜘蛛の糸でグルグル巻きにしていた。

「あなたを「救った」?勘違いしてもらっちゃ困るわ!私はあなたの夢を『巣食い』に来たのよ!」
「私の夢の中で金魚すくいがしたいんですかぁ?」「そっちの「すくう」じゃないわよッ!」
「金魚すくい!? ラディカもやりた~い!生の蜘蛛の糸って「わたあめ」みたいで甘くて美味しい~!」
「金魚すくい、わたあめときたら、焼きそばも外せないわね。蜘蛛の糸で焼きそば作れないかしら?」
「この蜘蛛の糸みたいに「雨露の糸」がたくさんあったら『水の羽衣』が作れるのに…残念ですぅ~」
ラディカ、アツコ、マリアが三者三様にふざけたことを言うので、アルケニーの堪忍袋の緒が切れた!
「アンタたち!ふざけるのもいい加減にしなさいよ!? 今すぐ、嬲り殺しにしてやってもいいのよ!?」

ー 助けて!ー
マリアの頭に女の子の声が響く。直接語りかけてくる。
ー アルケニーの胸にある「赤い宝石」を壊して! ー

「ラディカさん、私の分の蜘蛛の糸も食べて下さい!」
「え?いいの?いっただっきまーす♪」
ラディカは蜘蛛の糸を食べて、マリアの拘束を解いた。
「無駄よ!また、蜘蛛の糸でグルグル巻きにしてや…」「てやーっ!」
アルケニーがお喋りしている間に、マリアは瞬時にアルケニーの懐に飛び込んだ。
大きなガラガラ状の可愛い鈍器「ドリーミンキュアーロッド」でアルケニーの胸にある「赤い宝石」を攻撃した。
ガランガラン!! 一際、大きな音がした。攻撃が赤い宝石にきちんと当たった証拠だ。
「どこ狙ってるのよ?そんなトコ、当たっても痛くも痒くも…」
そう言っているうちに、アルケニーの胸の赤い宝石に無数の亀裂が入り、粉々に砕け散った!
「え?ウソ?どうして…!? 私の存在が消える…!? イヤアアアーーッ!!」
アルケニーは苦しみはじめ、断末魔を上げて、そのまま消滅してしまった!
蜘蛛の巣だらけの不気味な空間から夢カワ色の雲の海へと夢の世界が衣替えをする。
蜘蛛女のアルケニーが消滅した後、背中に雲の翼が生えた小さな天使の少女が姿を現した。
「私は、愛の雲。アイ・クラウド。コンゴトモ ヨロシク…」
アイが自己紹介をしながら優しく微笑んだ所でマリアは目を覚ました。




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