Nicotto Town


もふもふ0304


FER-9 小説の続き


なんかすごく間があいちゃったけど、小説の続きを書くね。


 中の国の王子は、混乱していました。
 なぜ自分は今、丸腰で白旗を持って、城門を出なければいけないのか、と。
 右を見れば、綿の国の王がいます。2年前、城壁の周囲を中の国の兵に取り囲まれ白旗を持って出てきたこの男は、2年後にまたもや白旗を持って自分の城を明け渡す羽目になっているというのに、どこか落ち着いた素振りで前を見つめて歩んでいます。あの時この城を取り囲んだ軍の総大将は、他ならぬ自分でした。当時とは真逆の立場になり、重い足を進めています。

 前回の戦勝記念日には、父王がこの国に訪れました。綿の国との国境に近い城に前泊し、市民の避難訓練の様子を視察し、記念の宴でもてなされ、綿の国の王都に一泊して帰るという二泊三日の日程をこなし、上機嫌で父は帰ってきました。来年の視察にはお前が行くといい、という言葉に従い、彼はやって来ました。年老いた父でも楽々こなせる簡単な任務であったはずなのに、何がどうなって今自分はこうしているのか、まるで悪夢を見ているかのような気がします。

 綿の国を支配下に置いた後、治安維持の名目で、中の国の兵士が国境沿いのいくつかの砦に駐在することになりました。戦勝国だということをかさに着て、略奪するなどあってはならないと考えた王子は、部下の中でも信の置ける者を選び、各砦の長に任じました。視察のついでに、その部下達の様子を見て来ると良い、という父の思いやりに、王子も素直に従いました。父王は国内に前泊しましたが、王子はいくつかの砦に直接行き、部下達を見舞い、砦の一つに泊まりました。

 異変が知らされたのは、市民の城内への避難が完了し、そろそろ祝賀の宴が始まろうか、という時でした。
「申し上げます。敵兵に城壁の周囲を取り囲まれています。旗印から見て、薔薇の国の兵の様です。その数は数え切れません」
 和やかなムードが吹き飛びました。
 城壁に駆け寄る、綿の国の王と中の国の王子。
 敵兵の最前列には、昨日様子を見舞ったばかりの部下がいます。王子の訪れた三つの砦の長たちが、拘束されて荷車に乗せられていました。「降参か交戦か」という張り紙付きです。
「複数の砦が一時に落とされたというのか!」
王子が言うと、
「貴公には捕虜の見分けがつくのか?複数の砦の責任者という事か?」
と、王が問います。
「そうです。私が昨日、見舞ったばかりの三箇所の砦の長達です」
「残りの砦も落とされている公算が高いのか?」
「わかりませんが、恐らく…。薔薇の国の女帝に、抜かりがあるとは思えません」
「それで貴公はどうするつもりだ?私は国民を守るためなら、降参を選ぶ。前回もそうしたからな。前回の国は朝貢と引き換えに我が国の治安を守ると言っていたが、立派に守ってくれている様だな」
強烈な皮肉に、王子はしばらく言葉が出ませんでした。
「…私の力不足、誠に申し訳ない。抗戦しても勝ち目があるとは思えない戦いに、貴国を巻き込むことはできない。私の部下の命もかかっている。私の首ひとつでこの場が収まるのなら、差し出そう」
「駄目です殿下!どうしてもというならわたくしもお連れください!」
従者が縋り付きます。その手をそっと外しながら王子は言います。
「お前の忠義はありがたいが、私の剣を、父上か兄上に届けてくれないか?兄上に子が生まれたら、その子に受け継いでほしいから。ほら、これを私だと思って」
王子は従者に剣を渡しました。そして従者の顔をまじまじと見ながら言いました。
「思うに、私は、というか、我が国は、調子に乗りすぎたのだ。女帝から打って出て来ないのをいいことに、近隣諸国にやりたい放題をして来た。この国に出兵する時、私が父上をお止めするべきだったのだ。唯々諾々と従う事ばかりが忠誠という訳でもないのに、私は父に逆らうことが出来なかった。わが命がここで終わったとしても、それは自らの愚かさの招いた結果なのだ。兄上は私ほど馬鹿ではない。父上をお諫めすることも出来るはず。兄上の治世を、そのそばでお支えする人生を思い描いていたのだが、思うようにはいかないものだな」
王子は従者の肩をポンとたたくと綿の国の王に向き直り、
「此度の件、落ち度は私にあります。私が白旗を持って出て行こうと思います。城門をお開けください」
と言いました。すると王は、
「貴国の支配下にあるとはいえ、ここは私の国だ。私も行く」
と言いました。

  続く

三連休のおかげで、少し書き進められたよ。
もっとも、週休一日がこのあと二週続くんだけど(涙)。
さーてこの後どうなる~?
中の国の王子の運命や、いかに!?

えーと、いないかもしれないけど、このお話を最初から読みたいという人用に、日記の題名にFER-1~9まで、番号が振ってあります。バックナンバーをお探しください。8は結構前です。なお、最初は小説を書くつもりではなかったので、初めの方は、小説の体をなしていないことをお断りしておきます。


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2024/11/05 10:58
お話の続き、催促するのもアレかなあ・・・って思ってたよ^^
次はクライマックスかな?
わくわく待ってるね(^▽^)/
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2024/11/05 03:07
待ってました~~~~!(≧▽≦)
て、え、一気に話進んでる?
と最初ちょっと混乱したけど、そういうことかぁ……。
うわあああ、これはどうなっちゃうんだ!?
続きが待ち遠しいけど、もふもふさん忙しくなっちゃうのか(・ω・)
無理のない範囲で、続き早くね~~~!(≧▽≦)




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