Nicotto Town



フツツカな昼メロですが…

ここは、ウェルカム王国にあるフツツカ魔法学院・学院長室。

魔女クラスの女性教師でトルテ学院長の昔からの友人でもある「エンロ・ハルバル」は、
いつものように、トルテ学院長の机の上に朝食の差し入れが入った紙袋を置いた。
「おはよう、トルテ。今日の朝食は『くまくまベーグル&ドーナツ』の…」
「あら、リモーネアマナツのマーマレードが、ベーグルにサンドされてるのねぇ~」
「まったく…皆まで言う前に、中身を言い当てるのやめとくれよ~」
「ウフフ、ごめんなさいね ハルバル」
トルテ・ウェイト学院長は、先天性の盲目で目が見えない。
それ故に、トルテには見えないものを見通す力が備わっており、魂の色や魔力などを見ることによって、
学院内のあらゆるものを感知できるのだ。
「あらあら…あの人、また来てるのね」
「あの人って、マカマカイの『ロキ・ミザール・アルコル』のことかい?
わざわざ、学校まで毎日来て…今日も 朝も早よから、ご熱心なことだねぇ…」
エンロ・ハルバルは「やれやれ…」といった感じで、溜息をついた。

一方、その頃。フツツカ魔法学院の中庭では、みんなで集まって朝の太極拳をしていた。それも終わって…。
「ロキさん、おはようございますぅ~」
「おはよう、マリア。今朝の太極拳は、もう終わったのかい?」
「はいっ!今度、ロキさんも参加してみませんかぁ?」
「いいよ。じゃあ、今から私の屋敷で手取り足取り腰取り…教えてくれないか?」
「ロキさん、私に個人授業して欲しいんですかぁ?何だか「一日家庭教師」みたいですぅ~」
「一日といわず、毎日でも構わないよ?マリア・アレックス先生?」
『イザナミキーック!!』「許せ!イザナミィーッ!!」
ユミコは夫のロキに飛び蹴りをかました。それを皮切りに、いつもの夫婦漫才が始まる。
「フッ、今日も切れ味のいい蹴りだな、ユミコ…」
「ロキくんが浮気さえしなければ、イザナミキックなんてしないわよ!
もしかして、私に蹴られたいから浮気してるの?」
「そうかもしれない…!」
キラーン!ロキはドヤ顔しながら最大級のイケメンボイスでそう言い切った。
「そうかもしれない…!じゃなーい!もう一発、イザナミキーック!!」「八つ墓村ー!!」

「ロキさんとユミコさん、今日もラブラブですねぇ~。なんだかんだ言って、二人は仲良し夫婦ですぅ~」
マリアが嬉しそうに手を合わせて、いつもの台詞をのたまう。
(マリアさんって一体、どういう思考回路してるのかしら?
どこをどう見たら、あれがラブラブで仲良しに見えるのよ…。
ロキ様もロキ様だわ。あの「天然ニブチンなおこちゃま看護兵」のマリアさんのどこがいいのかしら?)
ロキの愛人で家庭教師のサキュバス「マリー・オハラ」は、
マリアの言動に心の中でツッコミを入れつつ独白しつつ、ユミコに蹴られたロキを助け起こしていた。
「大丈夫ですか、ロキ様?もう!ムラサメさんたら!ヒドイ奥さんね!自分の旦那を平気で足蹴にするなんて…!
今時、暴力系正妻ヒロインなんて流行らないわよ!?」
「だまらっしゃい!そういうオハラさんは、負けヒロインどころかヒロインですらないじゃない!
若作りしてるサキュバスのオバさんの分際で生意気よ!」
「オ・バ・さ・ん~!? 言ったわね~!? ムラサメさん!!
サキュバスの私からしてみれば、ハイエルフのムラサメさんの方がよっぽどタチが悪いんじゃなくて!?
ロキ様!ムラサメさんのその見た目に騙されちゃいけませんよ!?
ハイエルフは、サキュバス以上に寿命が長くて長生きだから、実は私以上に年食ってるんです!
あの若い見た目に反して、年齢的には私以上にババアなんですよ!? 若作りを通り越して年齢詐欺ですよ!」

ユミコとマリーが仲良く(?)言い争っている間に、ロキはマリアを抱き寄せていた。
「さぁ、マリア先生…ベッドの上で個人授業してもらおうか?」
「え?どうして、ベッドの上なんですかぁ?ベッドの上で太極拳するんですかぁ?」
マリアは、ロキの腕の中でキョトンとしている。
ロキは、そんなマリアを愛おしそうに見つめ、自分の屋敷に瞬間移動しようとした。その時!
「セトチョップ~♡」「痛っ!」
セトが突然現れて、ロキの頭にチョップを入れた。
「そうは問屋が卸さないよ、ロキ♡ 双子の兄であるこのセトから逃げようなんて…
よっぽど、過激に責めて欲しいんだね♡」
「やめろ!セト…っ!マリアが…見てる…っ!」
「見られながら責められる方が感じやすいんだね。カワイイよ、ロキ…」
「ああ…っ!やめ…ない…で…っ!あ、ああ…っ!お兄ちゃん…っ!」
「双子の兄弟って、ああやって愛し合うのが普通なんですかぁ?」
マリアは赤面して顔を覆いながらも、ロキとセトの方をチラチラと見ている。
「ロキ!セト!マリア先生になんてもん見せてるアルか!双子BLは他所でやるヨロシ!」
朝の太極拳に参加していたメンドーサ隊の料理番チャイナ娘「ミカ・ヨンフー」が、すかさずツッコミを入れた。
「フフッ、ロキは私のものだよ…」「セト様!これ以上は…おやめください!」
「何だい?マリー。キミも仲間に入りたいのかい?
昔のように、私とロキとで後ろから前から同時にキミを責めてやってもいいんだよ?」
「後ろから前から?同時に?はう~っ!セトさん、過激すぎますぅ~」
マリアは、顔だけでなく耳まで真っ赤になって俯いた。
「セトくん!?マリアちゃんにヘンなこと教えるなーッ!!イザナミキーック!!」「Walk Like An Egyptian~♪」
「ロキくん、大丈夫?」「私と帰りましょう、ロキ様!」「ロキは渡さないよ…」
セトに責められて色っぽい表情してグッタリしているロキを前にして、
妻のユミコ、愛人のマリー、双子の兄のセトの三つ巴によるロキ争奪戦が始まった。

「ユミコさん、マリーさん、セトさん。あの人達は、本当にロキさんのことが大好きなんですねぇ~。
心配してすぐに駆けつけてきて、いつも そばにいて…ロキさんは、とっても幸せ者ですぅ~」
「相も変わらず、ウスラボケ~ッとしやがって…そういうマリアこそ、十分 幸せ者だと思うぞ」
マリアの隣でトリオンが顔を真っ赤にしながら柄にもないことをぽつりとつぶやいた。
「いつか、俺がお前を幸せに…」「トリオンさん?」
トリオンはマリアに求婚どころか、まだ告白もしていない。
最初、メンドーサ隊は隊長である「トリオン・シニュフォード・メンドーサ」のみで隊員は一人もいなかった。
セルティック王国の軍人時代の時から、トリオンはマリアのことが好きだった。
トリオンは、ドン・ブリカン・ジョーと強引に結婚させられそうになったマリアを教会から連れだした。
その時に、マリアにメンドーサ隊へのお誘いの返事を聞いた。彼女は 二つ返事で快く承諾した。
あれはトリオンなりのプロポーズだったのだが、マリアにはその意図が全く伝わらなかった。
「な、何でもねぇよ!…チッ!お前につられて、恥ずかしいこと言っちまったじゃあねーかッ!」
「トリオンさん、大丈夫ですかぁ?顔が真っ赤ですぅ~」

「トリオン先生とマリア先生、何かいい雰囲気~!恋人同士って感じ!」と、ニコレ・ノノハラ。
「僕としては、ニコレ先生とそういう関係になりたいな~、なんて…」「レザード先生?」
レザード・セイ・アレフの口説きを天然でかわすニコレ・ノノハラ。
(マリアの心の中には、今でもトリオンが居るんだな…)
ブランは切なげに溜息をついた。




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