キクタヒロシの昭和のヤバい漫画を読んで
- カテゴリ:マンガ
- 2024/10/07 13:16:45
”昭和のヤバい漫画~知られざる貸本マンガのDEEPな世界”を読んだ感想。
昭和30年代~40年代くらいのマンガ黎明期の作品の中で
とくにヤバめなマンガをピックアップ。
怪奇マンガ、スリラー、少女マンガ、青春マンガ、SFなどのなんでもあり
に分類されておりますが、
ひとつの作品ごとに突っ込みを入れても意味はないと思うので、
全体を通してやばさの正体を総括してみます。
まず、表紙と中身が違う。タイトルと内容が微妙にあっていない。
という作品が結構あります。
表紙と中身が違うのはもはやお家芸、
ストーリーも最後に強引にタイトルへ近づけるという力技。
ストーリーの因果関係が不可解、そのためその不可解さが不気味に感じる。
ストーリーの進行に脈絡も説明もありません。推理ものでは2コマ目で落ちをいうなど。
もっとひどいと、数ページ目にはキャラクターの顔が変わっている、
主人公の斬られた腕が治ってなかった事になど、
もはや意味不明。
やたらと蛇が出てくる。
とにかく蛇が多い。一番身近な怖い生き物だったせいでしょうか?
ヘリの農薬散布前の話なので、田舎ではたしかに蛇が多かったのですが。
差別や偏見を多く扱う。
今では絶対タブーなものも平気で描かれております。
特にひどかったのは、"オーム伝"という作品の
金持ちの美少女(さゆり)が、貧乏人(あきら)に
自身(さゆり)のう〇こを食べたら百万円やると笑っていうなど、
正気とは思えない話などがあります(AVではたまにあるけども)。
"オーム伝”は、話を膨らませすぎて収拾がつかない未完の大作(でも名作ではない)
として界隈では有名らしく、
「この作品を手塚治虫氏と白土三平氏に捧げる。手塚氏からは手段を、白土氏からは方法を学んだ男より」と言って始まるのですが、
”手段”と”方法”の意味はほとんど同じなので、
そのことからもこの作品の混迷ぶりが予感できると書かれておりました。
その他、気になるヤバい要素もピックアップしてみると、
◎リアルな絵柄であれば壮絶なスプラッタになりかねなかった話も、
画力がないので、どこか間が抜けていてユーモラス。
◎絵がゆがんでいて、観る者の平衡感覚を狂わす。
◎妙ちきりんなクリーチャーによる出オチ的なインパクト勝負。
◎謎めいた設定にしておいて結局語らず。
(今でもたまに見かける手法?伏線回収とかあったもんじゃない)
◎当時の流行にのっかり、貪欲に盛り込む。
(スーパーマンや鉄人28号など、そっくりさんがもりもりと出てきます。この辺りは見習いたいです)
◎有機物と無機物が逆転する。
(人が殺されて楽器になる、車が生物になるなど、ダリも真っ青なシュールさ)
以上が筆者によるヤバさの分析になります。
一応お断りしておきますと、貸本すべてがこんな話ではないと思われます。
あえて筆者はおかしな作品のみをピックアップしているにすぎません。
自分は、少女マンガ編が残酷すぎて読むに堪えれませんでした。
まだ幼い少女の不孝な話は無理ゲーすぎでした。読んじゃダメ;
ただ、全体を通してのメチャクチャ感は見習いたい。
なんか生きている熱気を感じるんですよね。
当時は担当編集者がいないので検閲などはなく、作家性が保たれていたようです。
悪く言えば野放しだったそうですw
あ、そうか、ありがと直しておくw
昔(昭和)あるあるで ダメなヤツたくさんあったと思う