Two Unknown Minutes (2)
- カテゴリ:自作小説
- 2024/09/25 03:11:27
*(1)から読んでね。
しかし、近年(と言ってもここ1万年くらいだが)宇宙空間の水素、炭素、タンパク質、リンが不足しており、彼らは自然と概念で体の主なエネルギーを保つように進化した。
概念は、ご存知の通り物質ではなく、形のないものである。
彼らがどのようにして、概念などという形のないもので、体を形成しているのか、その説明は地球の人間たちにとって多少難しい。
それこそ、あなたたちの概念には無い物事の成り立ちだからだ。
例えば、今、レモンを想像していただきたい。
そう、あの黄色いレモン。
黄色い、ツヤツヤとしたレモンをスパッと切って、それを口に放り込み、しっかり噛んでみよう。
口の中に、じゅわぁっ、、っとレモンの果汁が溢れる。
とても酸っぱい。
今、この想像だけであなたの口内に多少なりともつばが出なかっただろうか?
これが概念の力の一つである。
彼らのこの概念の力は、地球人よりもはるかに途方も無く強く、物質に「現実的に」、そして、「物理的に」影響を及ぼすほどなのだ。
付け加えると、そもそも、この力が強く無いと宇宙空間では存在することさえ出来ない。
なぜなら、海と違って、宇宙空間は栄養素に乏しく、その空間は信じられないほど(私たち人間の想像が及ばないほどに)過酷であるからだ。
そして、結果的に彼らは、「ぬ」や「س」、「요」の形となって暮らしている。
この「ぬ」、「س」、「요」の形は、もちろんのこと、彼らがそれらの文字を模しているわけでは無く、偶然似ているだけだ。
つまり、今、ここに書いている「ぬ」は、ぬとしての機能を持たない、彼の形を表すための絵としての「ぬ」であることも言うまでもないだろう。
そして、「ぬ」が地球にやってきた理由は、何も侵略しようとか、宇宙旅行などでもなく、これも偶然であった。
「ぬ」は他の「ぬ」たちとケンカをした。
その理由は些細なことで、さほど重要では無い。
そして、地球人に説明しても理解できない理由だ。
とにかくその「ぬ」は他の「ぬ」とケンカをしたため、その場から移動することにした。
彼らにとってネガティブなエネルギーは致命的だからだ。
まさに怒りや憎しみ、あるいは嫌いな相手の近くにいるストレスなどは、「ぬ」の主な成分である概念に悪影響を及ぼす。
彼らの移動方法は地球の生物のように、足で歩く、あるいは泳ぐ、飛ぶ、などでは無く、「思う」である。
「ぬ」は思った。
移動しよ。
で、たまたま、地球のイギリスの、ロンドンのダルストン地区の、“Damian69“というクラブの、壁の、穴の中へ移動してしまったのだ。
もちろん、「ぬ」自身、とても驚いた。
こんな騒がしい、気色の悪い巨大な生物たちが大騒ぎしている場所など、初めての経験であったからだ。
それにこんなにたくさんの色を感じるのも、「ぬ」にとって初めてのことだった。
「ぬ」が生まれて(正確には「生まれた」のでは無く、彼らは「発生した」の方が適切だろう。)から、7,771年の間、こんなに色を感じたことは無かった。
それは、私たちが生まれて初めてアルコールを無理して飲んだような感覚に近く、とても具合が悪くなった。
あまりのショックに「ぬ」は、しばらくの間、じっとしてる必要があった。
それから、「ぬ」は思った。
うわ〜、、なんだこれ。。移動しよ。
それでもう、「ぬ」はまた遥か彼方の宇宙空間へと移動していた。
「ぬ」が地球にいたのは、わずか2分足らずの間であった。
その間に「ぬ」は、移動した瞬間から受けたその「驚き」(それも極めて極端な)という感情を体外に逃す必要があった。
静かに身を横たえて、(彼が横になると、まるで、ぬというひらがながそこに書かれてるみたいに見えた)、じぃ〜っと、「驚き」が身から外へ分散していくのを待つのである。
それで2分かかったのだ。
2分後、おおよその「驚き」が体外に抜けたので、そこでようやく「ぬ」はその危険な場所からまた移動することができたのだ。
今、「ぬ」は、燕青銀河帯という星の巨大な集合団のはじっこ辺りにいる。
そこには他の宇宙生命体もおらず、「ぬ」はとりあえず落ち着いたようで、しん、とその体の黒色は少し濃くなっていた。
読んでいただいて、ありがとう〜!
他の文字は、(彼らはその文字を真似してるわけじゃくてたまたまらしいけど)アラビア文字の「س」(sin)と、ハングル文字の「요」(ヨ)に似てるんだってー(^-^)
ぬ、、いいね
ほかの記号は、、判読不明、、何て読むんだろう?
移動しよ、、、いいね
あら、とっても嬉しい感想!^_^
楽しんでいただけて、良かったです〜!
SFとしても、とても面白いね!(^▽^)/
ありがとう〜!^_^
ほんと、そうね。
さっさとその人から離れるのは良い方法だと思うな^_^
ところで、ノマドって何??って思って調べたら、遊牧民のことなのね。
へえ〜、新しい単語でござる^_^
>まさに怒りや憎しみ、あるいは嫌いな相手の近くにいるストレスなどは、「ぬ」の主な成分である概念に悪影響を及ぼす。
ここものすごくシンパシー。人間にも脳によくないものね。
滅ぼしあわないで「移動しよ」というのも好き。ノマドぬ。