FER-5 ファイヤーエムプレスローズの続き
- カテゴリ:コーデ広場
- 2024/09/16 16:21:07
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ドレスコーデの話の続きです。
女帝の国から、小国を1つ2つ挟んで東側に、女帝の国と同じような規模の国がありました。周辺諸国のちょうど真ん中辺になるこの国を、中の国と呼ぶことにします。
女帝の国は、国花が薔薇なので、薔薇の国と呼びましょう。
中の国と薔薇の国は、長く友好関係を築いてきましたが、中の国の現王が即位した後から、その関係が崩れだしました。
中の国の王は、女帝の父親ほどの年で、若くして亡くなった女帝の父とも交流があったようです。しかしいつの頃からか態度が強硬になり、折を見ては薔薇の国の国境に兵を差し向けるようになりました。自国の軍を使うことはめったになく、その影響下にある周辺諸国に兵を出させることが多いため、全面戦争になるということはありませんが、小競り合いが起こるたびにその火消しに煩わされる日々が続くようになりました。
姫騎士の次女は姉の反対を押し切り、長い髪を帽子に隠し、従士の格好で従軍するようにもなりました。
薔薇の国の北側には高い山脈があり、その向こうには良質な宝石を産出する国がありました。この国を石の国と呼びます。
石の国と薔薇の国は、国境を接しているにもかかわらず、直接の行き来はありませんでした。間にそびえる山々があまりにも急峻で、山羊か山賊しか通れないと言われていたからです。
石の国から他の国に行くには、どうしても中の国を通らねばならず、石の他に目立った産業もない小国としては、中の国の言うことを聞かざるを得ませんでした。
そんな力関係の下、ある日、石の国の軍勢が薔薇の国に攻め込んできました。山羊しか通れないという山脈を踏破してきたのです。
不意をつかれた薔薇の国側は慌てましたが、もとより国力が違い過ぎるので、制圧するのに時間はかかりませんでした。
無駄な血を流すのを嫌う女帝は、石の国の軍勢を捕虜とし、講和条約が結ばれるまで自国に留め置くこととしました。
今までにも、薔薇の国に攻め込んできて敗れた国の王族を、人質として、平和が確立するまで身柄を預かるということがありました。そんな時に、人質のもとを訪れて話し相手になるのは末の姫です。少しでも気が晴れる様にと、おいしいものを食べながら楽しい話をする末の姫の明るさに、人質として連れてこられた人たちも徐々に打ち解けていくのでした。
捕虜となった石の国の軍勢の中に、石の国の世継ぎの王子がいるのを見抜いたのは、末の姫です。人質のお世話は私の仕事とばかり、捕虜になった軍勢にも差し入れを持って行った時のこと、向こうを向いてばかりでこちらを見ようとしない兵士が一人いることに気づきました。きれいなものが大好きな姫の、イケメンレーダーが反応します。
「あの兵士がこちらを向いたら絶対美形に違いない」
心中でそうつぶやいた姫は、どうにか顔を確認することに成功します。それは、美形と名高い、石の国の王子だったのでした。
余談ですが、末の姫の愛読書は、各国美形王族図鑑です。
捕虜の中に世継ぎの王子がいるとわかれば、交渉は圧倒的に有利に進めそうです。和平交渉には、切れ者と評判の宰相が望みます。宰相に付いて政治を勉強している、三の姫も同席します。
捕虜の中に王子がいることを知っているという事を告げることから会議は始まります。そういわれた石の国の代表団は大慌てです。どうにか王子の命だけは、と、平身低頭せんばかり。そこでまず、何故王子が兵士の中に混ざっていたのかを聞くことにしました。
答えはこうです。
あの山脈を越えられるのは、山を知り尽くしたものだけで、数少ないその中に、王子が含まれていたのだと。山をよく知ったものが十分な装備で先導して、なおかつ天候に恵まれてやっと超えられる山なのだと。今回も、進軍中に命を落とす危険はあったが、王子は強行したのだと。
何故そうまでして攻め込む道を選んだのかと聞くと、石の国の代表は、項垂れて言いました。中の国の王が、後添いとして王子の妹姫を差し出すか、薔薇の国に攻め込むか、どちらか選べと突き付けてきたと。妹思いの王子は、なんとしてでもそれを阻止したい一念で今回の侵攻に至ったのだと。
それを聞いて三の姫が言います。
「山を知ったものがいて、装備があって、天候に恵まれたら通れる道なのね?それなら、より通りやすくしたら、命がけじゃなくても通れるようになるのじゃないかしら?」
姫の言い分はこうです。道なき道を広げて通りやすくしたり、途中に番小屋のようなものを何カ所か立てて、天気が急変した時に逃げ込めるところを作ったら、山越えも今ほど危険ではなくなるのではないか、中の国を通らなくても他国に出る道があるのなら、石の国も中の国の意のままにならなくても良いのではないか、ということです。
中の国に通行税を払わないで石の輸出が出来たら、というのは石の国の商人たちの悲願でしたが、実現することはまず無理だろうと思われていました。薔薇の国への通行が叶うのなら、これほどありがたいことはありませんが、石の国の代表団は、自国だけで実現するのは不可能なことも知っていました。それで、実際にはそのための費用も労力も出し切れないと正直に伝えました。
「では両国で協力したら、可能なのではないか?」
女帝の登場です。
続く
うわー長くなった。
まだ終わんないよ。
中の国の王、やなオッサンだなー。
これは続きが楽しみ~~~♪
でも確かにこれは、お休みの日でもないと書けない分量だねえ。
無理のない範囲で、続きお願いします!!