Nicotto Town


あなたに会えてよかった♪


【第5話】シン・ラジオ・ガール


夏休みに入る1週間前の日曜日、俺は隣の市にある、花と緑で有名な公園に来ていた。
沢山の人出で、公園はにぎわっていて。しかも天気もいい。
俺はペットボトルの水を口に含んで、木陰で立ったまま周囲見渡していた。

デート? ちがうちがう。
この公園は、全くもって俺に似つかわしくない場所だが、実はここに来たのには訳がある。

先週の話だ。

ソニーさんがメール読まれたラジオ番組(俺が慌てて曲名を聞いた、リクエストが流れた例のラジオ番組だ)結構人気があるらしく、時々リスナー対象にイベントをやってたみたいで。
たまたま隣の市のこの公園で、夏のイベントをやるって告知聞いたもんだから出かけてみたのさ。

勿論、マッキーにも甲斐女子にも内緒でね。

甲斐女子はまだしも、マッキーに聞かれたら絶対についていくって聞かねーだろうし…。

第一さ、マッキーってぜってー彼氏とかいなさそう。
勿体ないかもね。俺の目から見ても、化粧っ気が全くなく、髪だって染めるでもなくひっ詰めているだけだけどさ。
よく見れば美人なんだわ。

(あ、実は1年後、マッキーはメイク覚えてかなりイケてる感じになった。そしたら同僚の男の先生たちがほっとかなくなったぞ…って鼻をピクつかせながら俺に自慢してきたよ)

ぼんやり考えながら、イベント会場のステージで、いつものクルーがアシスタント相手に軽い喋りしながらリクエスト曲を流す…ってのを聞いていたんだ。

俺の頭の中は、例のソニーって子のことでいっぱいだった。
どんな子なんだろ… とか、俺の知り合いかな(地元の市住みだからね)とか、まぁ、そんなこと考えてるのがマッキーに知れたら恐らく救急車レベルの迫害受けるだろうなって。

いや真面目な話だよ。
何でマッキーはあんなに暴力的なんだろう?とかチラッと思ったが、やっぱりすぐその考えは消えていって。
ハッピーエンドが好きな、ソニーってラジオネームの彼女のことをぐるぐる考え続けていた。

その時。

『えーっと、次のリクエストは… ”先日、ショーコさん(ラジオ番組のサウンドクルーの名前ね)にリクエスト読んでいただいた○○市のソニーです。バックナンバーかけてくれてありがとう…”』

ぇ?
ぇぇぇぇえっ?

ずっと考えていたその彼女のメッセージをラジオクルーが読み始めたんだ。

何て偶然だ。

信じられない。

彼女がこの会場にいるかもしれない。そう思った俺は焦って周囲見渡したんだが、勿論誰がその子なのか分かるはずもない。

『”今日はイベントにも参加させていただいてます。あの時のメッセージ覚えて下さってますか?”』
クルーのショーコさんがくすくす笑って、
『うふ、覚えてるわよ~ だってあの後、

”その曲何て言う曲ですか?”

って、必死なのが真に迫って伝わってくるメッセージが来たんだしさ…
あ、えーっとまだ会場にいらっしゃいますか?ソニーさーん!?』

ナイスッ!ショーコさんっ!

呼びかけに誰か応じるかもしれない。
俺は目を皿のようにして周囲見渡したんだ。

そしたら、俺の向いにあるベンチに座っていた、一人の少女がおずおずと手を挙げたのが見えた。

白いワンピースに麦わら帽子姿の、色白の女の子。
髪はボブ。後姿しか見えないけど、細身の女の子。

俺だけじゃない、周囲の家族連れやカップル、子供たちも彼女を見ていた。
笑ってる人、へぇ?って顔をしてる人。
指さして囁き合うカップル。
 
でも俺は…
俺は彼女に目を奪われ、後姿を見てるしかなかった。

『ありがとー。 あ、そんなとこにいたのね。じゃ続きを読むわね。

”あの後の、必死な感じで曲のことを聞いて来た パナさんって人がいましたよね? パナさん。その後あの曲を聞いてくれてたのかな…?って思ってます。聞いたこともない曲を私のリクエストで気に入ってくれたのはとても嬉しいです。だからそれが気になってて…”』 

…マジかよ。
俺をネタにして、そんなに盛り上がるのか?って…
ちょっとそう思ってたんだ。


『はーいっ そうですよね。
ソニーさんが来てくれてるってことは…
 パナさんもいらっしゃるのかなー? もしいたら手を上げてもらえませんか~?

こらこら ハードル高いだろ。
そう呼びかけられたからって、はーい私です!ってキャラじゃねーしさ、俺。
無理無理。絶対無理。

でもさ…

あれ?
何で俺、手を上げてるんだ?
ヲイヲイ
俺のキャラじゃねーだろ?


で、何で周囲の皆が俺を見てるんだ?
ショーコさんまで…てか
白いワンピースの、麦わら帽子の彼女まで?

『あ、パナさんも来てくれてたんだ~ すっごいよね。なんか運命感じちゃうよねー その後、バックナンバーの曲聞いてくれた?』

クルーのショーコさんが、満面の笑みで此方に話しかける。


頷くしかないよな。
コクコク首を縦に振る俺を見て、ソニーさんは小さく笑ったんだ。

今考えれば、それがこの物語の始まりだったんだなって思う。
本当偶然が生んだ奇跡みたいなもんだったさ。 
(続く 

アバター
2024/09/18 12:55
これアニメになりそうって思った(p・・q)♪

アバター
2024/09/15 10:24
ここでソニーさんに会ってしまうのですね。
その後どうなるのかが気になります。
部活の方もどう展開していくのかとか・・・
次回も楽しみにしていますね。
アバター
2024/09/07 00:28
やっぱり、け~すけさんはトライアングル好きすぎですねw
まさか、ラジオの方ソニーさんに会ってしまうなんて☆
でも、そか。タイトル、シン・ラジオガールだし、それが、この物語の始まりだったんですね☆
マッキーはいいの?甲斐女子は?
でも、本命は、ラジオの麦わら帽子の白ワンピースのソニーさんの一人勝ち?
続きが気になる展開になってきました☆




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.