Nicotto Town


「さくら亭」日報


コーデ記録~浴衣祭り9



あいつが夏祭りに誘ってきた。
けっこう気の合う男友達。
でもまだ何も言われてないから、彼氏じゃない。
もしかしたら今日、言ってくれるんじゃないかとか
期待が抑えられない。

待ち合わせの石段の下。
約束の時間より早く着いてしまって、
スマホのミラーで身だしなみチェック。

浴衣は、去年に一目ぼれして買ってもらった
ピンクにバラの柄のもの。
去年の夏祭りでは、
女友だちにも似合ってるって好評だったやつ。

でもちょっと待って。
女子受けはしても男子受けしないタイプかも?
もうちょっと大人っぽいのが良かった?
髪型もいつも通りにおろしてるけど、
アップにした方が喜ばれたりする?
え、今から帰ってお姉ちゃんの浴衣借りて……
さすがにそんな時間ないよ!
そもそも、浴衣着てきただけでも
気合い入りすぎとか思われない?
入ってるけど、気合!

なんか泣きたくなってきて、
泣いてる場合じゃない、メイク落ちるし。
もう直してる暇だってないのに。
え、ちょっともう帰りたくなってきちゃった。
具合悪くなったから帰るって、
ライン入れてみようか。
でも今からそんなこと言われたら、アイツだって困るだろう。
え、どうしよう。どうしたらいい?

「何、わたわたしてんだ。忘れ物でもしたか?」
「ちがっ」
「って、その涙目なに?」
「鼻緒、痛くて」
「今からかよ。……まあ、ゆっくり回るぞ。
先にコンビニでばんそうこう買いに行っとくか」
勝手に手を引かれて、先を歩くアイツの横顔が
提灯のせいかちょっと赤く見えた。




なんか、甘酸っぱいのが書きたくなったから書いた。
ここで止めないと続きそうだったので
無理やり切ったともいう。
この続きはご想像におまかせということで。


個人的浴衣祭り第九弾。
09年の『浴衣(恋花)ピンク』。
久々に着せてみたら女子には好かれそうだけど
男子には悪そうな、と思ったら上の小話になったわけで。
高校生同士のカップル未満のイメージです。


真面目な話、
下駄の鼻緒ズレは本当に痛いし、
ばんそうこう貼っても汗ですぐはがれちゃうんで、
足袋は無理でも足袋ソックスとか用意しておくといいよ!




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