トノスカとマカ 3
- カテゴリ:自作小説
- 2024/07/18 08:56:58
よく見ると、穴を掘ったところだけ、土の色が違っていたが、注意して見なければ誰もここに穴を掘ったことなど気づかないだろう。
それ以外に何も変わったところは無かった。
ただひとつ、マカがそばに落ちている小さなものに気づいた。
キースランドの西にある森でガンマという木の実が取れる。
ガンマの実を噛むと酒に酔ったようになり、キースランドのチンピラたちはよくガンマの実を噛んでいた。
マカはさっき穴を掘っていたやつらのひとりが噛んで吐き捨てたグチャグチャになったガンマの皮を見つけたのだ。
やはり、やつらはストロベリーだったのだ。
ガンマの実の皮は、汚らしいつばと一緒に大木の根に張り付いていた。
もしかすると、ステーキのレシピを探していたのかもな。
トノスカが言った。
ああ、やつら、きっとこの森のどこかにレシピを隠したってブルーから聞き出しているのかも知れないぜ。だけど、詳しい場所を聞き出す前にブルーを殺しちまったんだろうよ。
マカが言った。
トノスカが聞いた。
どう思う?
どう思う?って、ブルーがどこに隠したかってことか?
ああ、そうだ。
まあ、ブルーがこの森のどこかに隠すと言ったら、あそこしかないだろう。
だよな。行ってみるか?
そう言って、ふたりは歩き出した。
。。。。。
トノスカとマカは12歳の少年の頃、よく仲間たちとこの森の中で遊んでいた。
5人の仲間の中にはブルーもいた。
ブルーだけは仲間の中で二つ年上で、背が高く、いつも威張っていたし、事あるごとにトノスカと衝突して取っ組み合いのケンカになることもあった。
ブルーは子供の頃から、卑怯者で嘘つきだった。
あるとき、学校の職員室から金が盗まれる事件があった。
トノスカは、大人が買うような高級タバコと立派なジッポライターを急に手に入れて見せびらかしていたブルーが犯人だと気がついていた。しかし、ブルーは仲間の一人で一番気が弱くおとなしいアーシャンがやったと噂を流した。アーシャンは学校の先生に呼び出された。結局、アーシャンが盗んだのではないと先生が判断したが、トノスカはブルーを許せなかった。
トノスカはそのことをブルーに問い詰めると、ブルーは激昂してトノスカに近くにあったデッキブラシを手に取って殴りかかった。トノスカは素手で立ち向かった。
ケンカになり、二人とも顔の形が変わるほど殴り合った。
ブルーはそれでも最後まで盗んだことを認めなかった。
トノスカはブルーを仲間から外すことを提案したが、気の優しいアーシャンは、ブルーにも何か事情があったんだろう。と言って反対した。
そればかりでなく、アーシャンはトノスカとブルーに仲直りの握手をするように求めて、ブルーはまた仲間の一人に戻った。
それからもトノスカたちは森の中を探索した。
トノスカとブルーはあまり口をきくことが無くなったが、その分を補うようにいつもアーシャンが明るく振舞った。
そして、トノスカたちは森の中で面白い場所があると、よくその場所に名前をつけた。
例えば、ストロベリーの男たちが穴を掘っていたところにある大木は、「でかいちんぽこ」と呼んでいた。
この森は大人でも迷ってしまうほど大きく深い森だが、トノスカたちは少年の時から森のことを知り尽くしていた。
あるとき、マカが森の奥でつる草に覆われた大きな岩の下にある洞窟を見つけた。
洞窟の入り口はつる草に覆われていて、今まで誰にも気づかれなかったのだ。
町の大人たちも誰も知らなかった。
その日はトノスカとマカのふたりだけだった。
ふたりは日を改めて、今度はランタンを持って洞窟を探検することに決めた。
トノスカは仲間たちにそれを伝えた。
洞窟探検決行の日、ブルーも含めた仲間たち5人全員が集まった。
それぞれ家から持ってきたランタンを手に持って洞窟へ入った。
洞窟は入り口の穴が大人ひとりが腹ばいになってギリギリ入れるほどの大きさで、トノスカが先頭になって入った。
中に入れば多少は広くなってはいたが、それでも立っては歩けなかった。
洞窟の中は湿っていて、少し下っていた。
トノスカは中腰になってランタンをかかげて穴の中を進み、仲間たちもトノスカに続いた。
洞窟は進むにつれて、急勾配になっていく。
しばらく行っても何も変わりは無く、誰もがもうそろそろ引き返そうかと思えるほど進んだ頃、穴は急に真下に落ちていた。
トノスカは腹ばいになって、ランタンで慎重に下を照らすと何とか降りれそうな高さだった。
トノスカは後ろに続くマカにそれを伝えて、マカは後ろにいるブルーに伝えた。
トノスカが暗闇の中に足を伸ばすと、岩壁に足をかけられるくぼみがあった。
そのくぼみに足をかけてから、一気に飛び降りた。
同じようにして、仲間たちみんなが穴の底へ降りることが出来た。
穴の底から続く洞窟は高さがあり、立ち上がることが出来た。
今度は更に傾斜のある下り坂で地面が湿っていて一番後ろを歩いていたペスカトーレが、痛えっ!と言いながら転んだ。その後、地面は平らになり、さらに平行に進むと、驚くことにそこには巨大な鍾乳洞があった。
天井からいくつにも連なってる垂れ下がる鍾乳石の隙間から光が何本も差し込んで鍾乳洞の中をうっすら照らしていた。
あの上が地上なのだろうか。
みな、ぽかんと口を開けてその巨大で神秘的な空間を眺めていた。
一番はじめに口を開いたのはひょうきん者のペスカトーレだった。
いやっはーーーーーーっ!!!!
すげえぞ!!こんな場所がポカにあったなんて!!
ほかの4人も口々に、うおーっ!!だの、すげえ!!だのと感嘆の声を上げた。
その大きな鍾乳洞のドーム状の天井からはいくつもの鍾乳石がつららのように伸びていて、地面はボコボコとした巨大な岩が連なっており、どこからか小さな川が流れ込んでいて岩と岩の間をうねりながら流れていた。川は鍾乳洞の端っこにある穴の中に落ち込んでいて、そこから先は進めなかった。
少年たちはすごい発見をしたと興奮して、それぞれ思い思いの方向へ散らばって鍾乳洞の中を探索した。
アーシャンが見つけたのは、水晶の塊だった。
透明度の高いピンク色で、大人の手の指ほどの大きさの水晶がその岩のくぼみにいくつかかたまって密生していた。
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- ケニー
- 2024/07/19 12:11
- わくわくしていただいて、良かったです〜(^O^)
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- せんちゃん
- 2024/07/19 07:53
- わくわく♪(^▽^)
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