トノスカとマカ 2
- カテゴリ:自作小説
- 2024/07/17 10:05:49
後日、トノスカとマカが羊肉を売りに行った時、業者とブルーに何があったのか聞いた。
肉業者のおやじが言った。
CCBのやつらもステーキを探していて、躍起になってる。
そのうち町で殺し合いがはじまるぜ。おまえらも気をつけな。
ステーキってなんだ?
トノスカが聞いた。
ヘロインよりヤバいドラッグさ。
どっかの製薬研究所で偶然できたドラッグでまだ誰もその製法をわかってないんだ。
そのレシピをエブラハムっていうストロベリーのチンピラが研究所に忍び込んで盗んだんだ。やつは下っぱのくせに大胆にもCCBかストロベリーのどちらかにそのレシピを売りつけようとしてたらしいぞ。
どちらか高い金で買ってくれるほうにな。
あの日の夜、なぜエブラハムがポカに来てたかはわからんが、もしかすると、CCBの誰かとその話をするために待ち合わせでもしていたのかもな。
キンバでエブラハムはラリってたまたま隣にいたブルーにそのことを話しちまったんだ。バーテンやまわりの客がそれを聞いてた。
ラリってたし、酒も入って気が大きくなったんだな。
それで、ブルーがちょっとそのレシピを見せてみろよ。お前はどうせホラを吹いてんだろ?と、カマをかけたんだ。
エブラハムが嘘じゃねえ、と言ってそのレシピのコピーを懐から出した途端にズドンさ。
ブルーはそのコピーを持ってキンバからさっさと姿をくらましちまったのさ。
それでブルーはCCBかストロベリーのどちらかに捕まって、拷問されて殺されてちまったんだな。
ところがブルーはそのときステーキのレシピを持って無かったんだよ。
拷問でその在り方を聞き出そうとして、やり過ぎて聞き出す前に殺しちまったんだろうな。
だから、今、ストロベリーのやつらがCCBのシマでもお構い無しにステーキのレシピを探しに来てるってわけさ。
お前たちのところにも来たんだろ?
気をつけたほうがいいぜ。
肉業者のおやじが言ってた通り、次の日の朝、町はずれの保安官詰所のまん前で派手な銃撃戦があって、CCBのチンピラが3人とストロベリーのチンピラが一人死んだ。
ストロベリーは一旦自分たちの町へと戻って行ったが、その晩にすぐCCBのボスの家の門の前に猿の生首が10個並べられていた。
猿の生首は、お前らは猿ほどの力しか無いという意味で、10という数は皆殺しにするという意味があった。
CCBのボスは、その夜のうちに隣町のランスカという町へ使いを走らせた。
ランスカは大きな町でそこはウォングという中国人ギャングが仕切っていた。
ウォングとCCBは兄弟分で、平和条約を結んでいた。
CCBのボスはウォングのボスにストロベリーを潰す協力をもとめたのだ。
ストロベリーを潰して、ストロベリーの仕切る町、キースランドを半分づつCCBとウォングのシマにしようと伝えたのだ。
ウォングは20人のチンピラと大量の武器をCCBに送った。
CCBの提案に応じたのだ。
トノスカとマカは町の不穏な空気を感じながら、銃撃戦の翌日も森へ羊狩りへ出かけた。
町外れの森には野生の羊が多くいて、トノスカとマカはその肉を売って生計を立てていたのだ。
いつものように森の入口でふたりは身体に土をこすりつけていた。
野生の羊は匂いにとても敏感で、人間の匂いを感じ取るとすぐに隠れてしまうのだ。
ふたりは準備を終えて、森へ入って行った。
野生の羊は毛が薄い茶色で薄暗い森の中では見つけにくい生き物だ。
ふたりはゆっくりと音を立てぬように歩きながら、じっと目と耳で羊の気配を感じ取ろうとしていた。
しばらく歩いて、苔むした森の中まで入ってきたとき、マカが右手前方に何かいるのに気づいた。
それは羊では無く、5人の男たちだった。
3人の男たちが大きな木の根元にスコップで穴を掘り、他の2人の男たちが穴の外に立ってそれをじっと見ていた。
2人の男たちは黒く長いコートを着ていて、3人の男たちより上の立場のようだった。
異様な雰囲気でスコップを土に突き立てるザクザクという音だけが聞こえていた。
まだ距離があったし、あちらからはちょうど背後の位置にいたので、ふたりは気づかれていなかった。
マカはとっさにトノスカに目で合図した。
トノスカもすぐに男たちを見つけて、ふたりは木の陰に隠れてその様子を伺った。
男たちは何かを探しているようだった。
しばらく穴を掘りその深さが男たちの腰くらいになったころ、3人のうちのひとりが穴の外で待つ男たちに手の甲で汗を拭きながら何か言ってるのが見えた。
黒いコートの2人の男は穴の中を覗き込み、2人で何かをボソボソと話し合った。
そのとき、トノスカとマカには黒いコートの2人の男の横顔が見えた。
4年前、ふたりが仕事で、ストロベリーの仕切る町、キースランドの精肉店の倉庫に行ったとき、ちょうどその倉庫からストロベリーの男たちふたりが入れ違いで出てきたのだ。
倉庫に入ると、精肉店の店主は青ざめて顔から血の気を失っていた。
トノスカとマカが知るその店主は腕っぷしが強く度胸のあるやつだった。
ちょうどその年にストロベリーは以前キースランドを仕切っていたロスコというギャングを潰して、新たにキースランドを仕切るようになったばかりだった。
ストロベリーはもともとキースランドよりも南のドルコという町で生まれたギャングで、キースランドへと勢力を拡大してきたのだ。ストロベリーは手段を選ばない残虐なギャングだった。
精肉店の店主は、ロスコがキースランドを仕切っていた長い間、ショバ代を払うことを拒否し続けていた。それは精肉店の店主の親父の代からずっと続いてきた信念だった。
店主は薄汚いギャングなんぞに払う金は一コインも無い。と、いつも豪語していたし、ロスコの執拗な脅しにも屈することが無く抵抗し続けて、あるときはロスコのチンピラたちとケンカして一人で5人を叩きのめしたこともあった。ついにロスコは精肉店からショバ代を取ることを諦めた。
精肉店の店主はそのことを誇りにしていた。
そのタフな店主がストロベリーが帰ったあと、顔面蒼白になって手足が小刻みに震えていたのだ。
トノスカとマカは驚いて、何があったのか店主に聞いた。
店主はどこにも殴られたような傷も無かった。
しかし、店主はただ、おれはやつらが怖いんだ。。とだけ言った。
そのときの精肉店の倉庫の入口ですれ違う時に一瞬だけ見たストロベリーのふたりの男たちが、今、トノスカとマカが見ている黒いコートの男たちだった。一人の男は顔の右半分に大きな青いあざがあった。
黒いコートのふたりの男は何かを話し合ってから、穴を掘っていた男たちに何かを言った。
3人の男たちは穴から這い出て、今度はその穴に掘った土を入れ始めた。
穴を元通りの地面に戻すと、男たちは引き上げて行った。
トノスカとマカは、男たちが引き上げる時、こちらへ来たらまずいことになる。と身構えたが、男たちはポカとは反対方向の南にあるキースランドへ向かって帰って行った。
トノスカとマカは、用心してしばらくはその場から動かなかった。
もう完全に人の気配が無くなってから、ふたりはストロベリーのやつらが穴を掘っていた大木のところに行ってみた。
よく見ると、穴を掘ったところだけ、土の色が違っていたが、注意して見なければ誰もここに穴を掘ったことなど気づかないだろう。
マカはとっさにトノスカに目で合図した。
トノスカもすぐに男たちを見つけて、ふたりは木の陰に隠れてその様子を伺った。
男たちは何かを探しているようだった。
しばらく穴を掘りその深さが男たちの腰くらいになったころ、3人のうちのひとりが穴の外で待つ男たちに手の甲で汗を拭きながら何か言ってるのが見えた。
黒いコートの2人の男は穴の中を覗き込み、2人で何かをボソボソと話し合った。
そのとき、トノスカとマカには黒いコートの2人の男の横顔が見えた。
4年前、ふたりが仕事で、ストロベリーの仕切る町、キースランドの精肉店の倉庫に行ったとき、ちょうどその倉庫からストロベリーの男たちふたりが入れ違いで出てきたのだ。
倉庫に入ると、精肉店の店主は青ざめて顔から血の気を失っていた。
トノスカとマカが知るその店主は腕っぷしが強く度胸のあるやつだった。
ちょうどその年にストロベリーは以前キースランドを仕切っていたロスコというギャングを潰して、新たにキースランドを仕切るようになったばかりだった。
ストロベリーはもともとキースランドよりも南のドルコという町で生まれたギャングで、キースランドへと勢力を拡大してきたのだ。ストロベリーは手段を選ばない残虐なギャングだった。
精肉店の店主は、ロスコがキースランドを仕切っていた長い間、ショバ代を払うことを拒否し続けていた。それは精肉店の店主の親父の代からずっと続いてきた信念だった。
店主は薄汚いギャングなんぞに払う金は一コインも無い。と、いつも豪語していたし、ロスコの執拗な脅しにも屈することが無く抵抗し続けて、あるときはロスコのチンピラたちとケンカして一人で5人を叩きのめしたこともあった。ついにロスコは精肉店からショバ代を取ることを諦めた。
精肉店の店主はそのことを誇りにしていた。
そのタフな店主がストロベリーが帰ったあと、顔面蒼白になって手足が小刻みに震えていたのだ。
トノスカとマカは驚いて、何があったのか店主に聞いた。
店主はどこにも殴られたような傷も無かった。
しかし、店主はただ、おれはやつらが怖いんだ。。とだけ言った。
そのときの精肉店の倉庫の入口ですれ違う時に一瞬だけ見たストロベリーのふたりの男たちが、今、トノスカとマカが見ている黒いコートの男たちだった。一人の男は顔の右半分に大きな青いあざがあった。
黒いコートのふたりの男は何かを話し合ってから、穴を掘っていた男たちに何かを言った。
3人の男たちは穴から這い出て、今度はその穴に掘った土を入れ始めた。
穴を元通りの地面に戻すと、男たちは引き上げて行った。
トノスカとマカは、男たちが引き上げる時、こちらへ来たらまずいことになる。と身構えたが、男たちはポカとは反対方向の南にあるキースランドへ向かって帰って行った。
トノスカとマカは、用心してしばらくはその場から動かなかった。
もう完全に人の気配が無くなってから、ふたりはストロベリーのやつらが穴を掘っていた大木のところに行ってみた。
よく見ると、穴を掘ったところだけ、土の色が違っていたが、注意して見なければ誰もここに穴を掘ったことなど気づかないだろう。
はい、そうゆうこともあると思うし、何より彼らの目は本当に恐ろしいようです。。
それ以外のパターンも色々ありそうだけどw
読んでいただいて、ありがとう!
はい、今から続きを載せますね〜!