Nicotto Town



中期Beatlesは疑似ステレオに限る。


ビートルズのマニアはそこら中におりまして、皆さん大変ウルサイ。
無理やり左右に振り分けた疑似ステレオは非常に嫌われてる。
でもね、アタシゃ中期のアルバムはコレでないと楽しくないんです。

60年代末だったかな? NHKラジオが啓蒙番組を作った。
ラジオを二台用意して、NHK第一と第二を受信させる。
マイク2本立てて卓球の打ち合いを放送した。アレはビックリした。

70年代前半、FM放送を受信できるようになり、
少し経ってステレオ録音できるオープンリールを手に入れた。
苦労して繋ぎビートルズを録音し、再生……初めは録音を失敗したと思った。

ご存じの通り、左から演奏、右から歌と幾つかの楽器。
真ん中に定位してるものがないんですから、機材の故障も疑った。
でもこれで(当時は)正しいのだと判明し、聴き続けるうちに慣れた。

だから『Rubber Soul』等の中期ビートルズは、極端なミックスでないと、
ビートルズを聴いてる気がしないのです。今のリマスターやモノ聴くと、
キレイに整理され迫力もあり聴きやすいけど、私のビートルズじゃないなー。

中央に定位するものが皆無、という音楽体験は強烈でして、
この後バイノーラル録音にも手を出し、自分の演奏はそれで録っていた。
ステレオ≒近未来テクノロジーという印象が強かったのです。

前衛・アヴァンギャルド好きになる萌芽もこのあたりかもしれない。
フリーインプロには互いに決して妥協せず好き勝手に演るタイプがあり、
その手の音楽のスタジオ盤には『Rubber Soul』的浮遊感がある。

『She said she said』や『Strawberry Fields…』あたりもね、
極端なミックスがサイケデリックに感じられて好きなんです。
こういう嗜好が貧弱な我が思想にも影響を与えたと思われる。

『Revolution』の歌詞でレノンはどっちつかずの態度を貫いた。
俺も勘定に入れてくれ、いややっぱ入れないで。何とステキな姿勢だろう。
左にも右にも一理ある。でもどっちにも行きたくないの。

じゃあご立派な中道を歩きますかい? 御冗談を、それがイチバン嫌。
オレはあらゆるところからOut Of Order、員数外と見なされたいのだ。
だから真ん中の抜けた録音を愛することになる。うむ、納得の結論です。






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