ニューヨークに住んでてびっくりすることはやはりその人たちの生態だよね。
今までもいくつか書いたけど。

おれは日本でもアメリカでも、誰かに恋をして告白したことは何度かある。
うまくいくこともあれば、もちろん、振られたことだってある。
んで、その逆に告白されたことも日本でもアメリカでも何度かある。

そうゆうことって、ある程度生きてきた大人ならおおよそ多かれ少なかれ誰もがきっと経験することなんだろうね。

ところが、日本では経験したことがない、ニューヨークでしか経験したことがないことがあるんだ。

それは道端で急に女性に色目を使われること。

初めてそれを経験したのは、確か10年くらい前で、ユニオンスクエア(マンハッタンにある栄えてる場所)で一人で信号待ちをしていたら、隣に黒人のおだんごみたいなむちむちのお姉さん(おばさんと言っても良いが失礼なのでお姉さん)が、おれの隣に来て、突然おれに向かって、腰をくねくねさせて(マリリンモンローのように)うっふん、って感じでウインクして、今からどっか行かない？って言ってきたの。
おれは超びっくりして、いや、行かなきゃいけないから。と言って足早に立ち去ったの。

その後も、2年に一回くらいのペースで何度かそのようなお姉さまにいきなり色目を使われることがあるんだよ。
少しずつ慣れてきたけど。

その時の彼女たちは、もちろん、おれとのある程度の関係性があった上での「告白」とは全く違って、もっとストレートな「あなたとセックスしたいの。」という、ワンナイト的なお誘いなんだろう。

おれはその時にいつも感じるのは、別に相手はおれの好みでもないし全くその気もないけれど、不快な気持ちにはならないのね。
むしろ、なんというかそのストレートで、“もろ”出しにした公衆の面前でのおおっぴらなそのアプローチが微笑ましくもあるんだよ。
そして、どこかうらやましくもある。

あまりにあっけらかんと「あなたのセックスがしたい。」ということをあんなにストレートに表現できるそのおおらかさは、チャーミングな印象さえ感じるんだよ。

なんか、日本の陰険なストーカーみたいな男たちより、よっぽど可愛げがあるし、健全な気がする。
あっぱれだなあ。と思うんだよ。

おれはその全てを断ったわけだけど、だからと言って何か嫌なこと言われたりしたこともないし、あっさりしたものだったよ。

ちょっと大げさかも知れないけどさ、「自分が何かを欲しい。」ってことをはっきり表現できるって、なんかうらやましいんだよ。

別におれはそうゆう目的でナンパをしたことがないわけではないの。
特に10代20代の頃は何度かした。
だけど、やはり彼女たちの表現とは根本的な「質」が違うような気がする。

んで、アメリカ人の男たちのナンパは、また少し違う感覚がある。
そこにわずかに危なっかしい何かを感じるんだよな。
だから、それはそんなに健全さを感じない。
まあ、人によっては男でも健全な色目使ってる人もいるけどね。
(健全な色目ってなんだ？その矛盾しまくってる言葉は！？)

んで、男が女性にそうゆうアプローチをするときは十分に気をつけなきゃいけないんだよね。
単純に男の方が体でかいから、場合によっては怖いじゃん。
だから、別にナンパしちゃいけないわけじゃないけど、そこは自分で注意しなきゃいけない。
そうゆう男女の根本的な違いもあるかも知れないけどさ。


よく考えてみたら、「あなたとセックスしたいの。」ってさ、それ自体は悪いことではないと思うんだよ。
もちろん、相手に嫌な思いをさせるなら、悪いことになってしまうけどさ。
彼女たちの場合ね、ヘンな言い方かも知れないけど、なんか純粋なんだよ。
とても素直に自分の気持ちを思い切り表現しちゃってるだけ。
そこには、おれ(または対象の人)に対する攻撃的な気持ちも無いし、無理強いする気持ちも、何もネガティブな気持ちが無くて、ただ単純にその相手が自分にとって性的に魅力的だからアプローチしてるだけなんだ。(と思う。)

こんなに素直に自分の気持ちを表現することって、おれはあるかなあ？
一人の時じゃなくてさ、世間の真ん中で。
誰かに対して。

それって何か、幼い3歳の女の子がお父さんに「大好き！」って言うのに、近いようにさえも思える。
すごくシンプルで、そこに混じりっ気が無いのね。

その混じりっ気の無さが可愛げと健全さを生むような気がするんだよな。
そして、そんなふうに自分の気持ちを、あっけらかんと表現できちゃうことって、おれはやっぱり素敵だと思うんだよな〜。

おれも少しずつ、そんなふうに自分の気持ちを出しちゃう経験をしてみよっと。
別にナンパするってことじゃなくてさ。
超シャイボーイの引っ込み思案には難しいんだけどさ！(涙、笑)