柔くしなやかな月の下で
- カテゴリ:自作小説
- 2024/03/22 22:53:27
第十五章
「はぁ…長風呂になっちゃった、ごめんね?」と私が出てくるとリム君は眠ってしまっていた。
私は彼を起こさない様に、メイクルームへと移動しスキンケアを済ませた。
軽めの香水も纏いながら、私はリビングへと行き眠ってしまったリム君の隣に座り頭を撫でた。
一緒に眠りに付いたあの日から、私達はリビングで一緒に眠る事が当たり前の様になっていた。
恐らく彼は、「女性とベッドで眠る事」に抵抗があるのだろう。
「まだ、怖いんだね…」と小さく私は呟き、頭を撫で続けた。
煙草へと手が伸びる頃、リム君はほっそりと目を開き「…怖いです…夜になると…」と
私が言った事への返答かの様に、言葉にした。
恐らく私の言葉への返答では無かったかもしれない。
「そっか…大丈夫だよ、なにも怖くないから、ね?」と伝えると安心したのか目を閉じ眠りに落ちた様子だった。
私は煙草に火を点け、深く呼吸をする。
「相当なトラウマなんだろうな…」と彼へと思いを馳せる。
考えれば考える程、彼の好きだった女性が憎たらしく思えてくる。
こんなに怯える程の恐怖を与え続けた…。
「酷い人だ…」と思う迄、煙草を吸い続けていた。
私が落ち着かなくなって来てしまいそうだった為に、私は薬を飲みにキッチンへと向かう。
水を入れ、薬を一気に飲み干す。
今日は私が抱き締めて寝よう、と寝室へと行き掛布団と枕を持ってリビングへと向かう。
眠ってしまったリム君へと掛布団をふんわり掛け、私は電気を消しに行った。
月の光がカーテンから漏れていた。
私はリム君の背後に回り、彼の身体へと手を回し私も眠りに落ちて行った。
真夜中の二時だったか、三時だったか…私は違和感を覚え虚ろに目を開けた。
薬の効いた頭では何も覚える事は出来ないが、目の前にはリム君の綺麗な顔が私を見つめていた様に思う。「すずさん…俺の事、怖いですか?」そう聞かれ、寝惚けていた私は「リム君は…怖くないよ…」と
答えるのが精一杯だった。
「…抱き締めても良いですか?」…「うん…」そんなやり取りを夢でも見ているのだろうと、
私は思い、答えた。
真正面から彼に優しくふんわりと抱き締められながら、「すずさん…俺きっと、すずさんが好きです…」
…「私も…好きだよ…リム君…」なんて優しい夢なんだろう、と私は思いながらも
私も彼を抱き締めて、「温かい…」どっちが言ったのかも朧げな中、
「…すずさん、キスしても良いですか…?」私は何もかもが、夢なのだろうと思いながらも
「…うん」そう答えていた。
とても優しくも、儚げなキスをした。
月の光が無い中、私達は抱き合って眠りに落ちて行った。
乱暴に近寄らず 離れず こういう関係っていいなあって思います。
お互いを尊重することが負担になってないのは相性がいい証拠なのでしょうね。
お月様が照らす夜 タバコに香水 そして二人
紫音さんのお話 ゆっくり楽しませてもらっています。
いつもありがとうございます。
お天気不順で振り回される日々です
ゆっくり過ごせていますように。