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「垂れ耳うさぎプゥの導き」①


「垂れ耳うさぎプゥの導き」


「怒りの解決」


芙美は静かな教室で机に腰を下ろし、

授業の合間に思索にふけっていた。

最近、彼女は怒りを感じることが増えていた。

同じ出来事でも、なぜか心が熱くなり、

怒りがこみ上げてくる。

しかし、その感情に対する

彼女自身の反応に戸惑っていた。


そんなある日、芙美は大学のキャンパスを歩いているうちに、

偶然にも藤山浩太教授の講義のポスターを目にする。

その講義のテーマは「感情のコントロールと自己理解」だった。

芙美は思わず立ち止まり、

その講義を受講することを決意した。


夏の午後、大学の講義室は静寂に包まれていた。

講義が始まると、教授は感情の本質に

ついて熱心に語り始めた。

「怒りの原因は、自己の価値観との相違です。

同じ相手や出来事でも、

それに対して怒るかどうかはその人の価値観次第です。

なぜ怒るのか、その目的は『自己防衛』です。

プライドや自尊心などを保つための

防衛反応として生じる感情であるのです。」


学生たちは熱心にメモを取りながら、

藤山浩太教授が「怒り」についての講義を聞いていた。

教授は物静かながらも熱意を込めて言った。

「怒りの感情が生じるときに関わるのは、

大脳新皮質と大脳辺縁系という2つの場所です。」

教授の言葉に、学生たちは興味深そうに耳を傾けた。

「怒りをはじめ、不安や恐怖といった、

いわゆる『情動』と呼ばれる感情が起きているときは、

大脳辺縁系が活発に動くことがわかっています。

一方、怒りなどのさまざまな感情を

コントロールする機能や理性的な判断、

論理的な思考やコミュニケーションと

いったことを行うのが、

大脳新皮質のなかにある『前頭葉』と呼ばれる場所です。」

学生たちは教授の言葉にうなずきながら、

深く考え込んでいた。

「怒りの感情は、大脳辺縁系で生じ、

それを前頭葉で抑える。

私たちの脳は、もともと備わっている『いかり』を、

『理性』や『知性』で抑える働きをしている。

生きていくために必要な感情を、

人間らしく生きるために

コントロールしているという状態なのだ。」

藤山教授の言葉に、講義室の空気が重くなった。

学生たちは一つ一つの言葉を吸収しようとしていた。

「前頭葉は常に感情をコントロールする役割を果たしているのですが、

実は、突発的に発生する怒りの感情には、

すぐに対応できないのです。

急には対応することはできないものの、

実は『少し我慢している』と活動を始める、

つまり、怒りの発生と理性の発動には時間的なズレがあるのです。

ですから『ちょっと待つ』ことが、

怒りを抑える最大のポイントになるのです。」

教授の言葉は、静かなる洞察として学生たちの心に響いた。

彼らは怒りと理性の微妙な関係について深く考え込んでいた。


怒りについての教授の講義が終わり、

学生たちはそれぞれの思いを

抱きながら講義室を出ていった。

翌日、芙美は学校の図書館で静かに本を読んでいた。

すると、隣の席に座っている女性が

携帯電話で大声で話し始めた。

周囲の視線が彼女に向けられ、

芙美もイライラが募っていった。

しかし、怒りを抑えようとして思い出したのは、

藤山教授の言葉だった。

「怒り」という感情は、

脳が身を守るために下した判断によるものだ。

怒っている自分を責めたり、

そのことで悩んだりしないようにしよう。

芙美は深呼吸をして冷静さを取り戻し、

教授の言葉に従って自問自答した。

「自分は今、何に怒っているのだろう?

なぜこの出来事に対して怒りが湧くのだろう?」

すると、彼女は自分の中にある感情の根本を探り始めた。

彼女が大声で話していることに対する怒りだけでなく、

その背後にあるストレスや

疲労も彼女を苛んでいたことに気づいた。

怒りという感情を紐解くことで、

芙美は自分の心の中で起こっていることに気づき、

解決に向かうための

第一歩を踏み出すことができた。

図書館が静寂に包まれる中、

芙美は深く考え込んでいた。

怒りを抑えるためには、

まず自分自身と向き合い、

感情の根本を探ることが必要なのだと。


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2024/03/15 22:06
シャマイムさん
こんばんは。
いつも読んでくださってありがとうございます。
自己啓発も兼ねた小説にしました。

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2024/03/15 05:35
おはようございます。
アンガーマネジメントの研修を思い出しました。
更新、楽しみにしています。



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