3.11
- カテゴリ:小説/詩
- 2024/03/11 22:21:08
この詩は3.11について10編くらい書いた中の1つです
大地はあの日
自分の肌に刻み込まれた無数の傷を
洗い流すため
はげしく身を震わせ
大きな波を呼び寄せた
その夜はとても美しい星空だったというが
見上げた者はいない
夜空の星を妨げる明かりもネオンもないというのに
地上が火に包まれ
暗闇が恐ろしいほど世界を支配した
人々は
自然を本当に恐ろしく感じた原始の世界に迷い込んだ
朝の光の中で
誰かが泣きながら言った
使い物にならなくなった土地は捨て
どこかへ行くしかないのか
きのうまで住んでいた地面は
どこまでも続く浅い海に変わり
ただ空を映している
あの海の底で人が呼んでいる
だから風がこんなに強いのか
あの日から
心を通り過ぎていく「時」の測り方も忘れた
かつて時間は風のように
私たちや木々の中を吹きぬけたものだが
たしかあのあとやってきたのが
春というものだったのかだれも分からない
距離も時間も飛び散ったあと
目に見えないものを測り続ける日々が始まった
あの時読んだ記憶があるよ。
今読んでも心が揺れて涙が出た(T_T)