Nicotto Town



どう生きる?第四十二章  進路が決まった瞬間


第四十二章  進路が決まった瞬間


家に帰ると、私はマヤが 

大好きなパスタとサラダを作った。 

食事をしながら、彼女が話し始めた。


「私は、あなたに出会ってから日本に住んでみたいと思うようになったの。 

私の通っている大学と交換留学のシステムがあるから、 

それを使えば比較的日本の大学に留学するのは簡単なんだ。 

でも、海斗がスウェーデンの私の通っている大学に

入るのは難しいかもしれない。 

だから私が日本の大学に留学して、 

一緒に住むことにしたら、 

離れ離れにならなくて済むと思うんだ。 

あなたは、私が留学しようと思う大学に合格してほしいの。」


「それはどこの大学?」と私が尋ねると、彼女は答えた。 

「東京大学。」


彼女は、私が受験して落ちた大学だと知っていた。 

当時、私は滑り止め用の私学を受けずに、 

東大一本で受験した。 結果、桜が散った。

もう一度東京大学に挑戦するのも悪くないと、そう思った。 


「海斗、一緒に頑張りましょうね」と彼女が言った。

「今回は、本気で勉強して東京大学に合格するよ」

と堂々と答えた。


「以前は、あまり強い気持ちじゃなかったんだよね?」と聞いた。

「うん、前は適当だった、なんとなく合格できたら

いいかなって感じで受験したんだ。

今回はマヤと一緒に東京大学に行くって目標がある」

と笑顔で答えた。


「それで、カフェでのバイトはやめるの?」彼女が尋ねた。

「その方がいい。今は勉強に集中しなきゃ。

母に受験用の道具を送ってもらうことにした」と答えた。


その後、私たちは彼女の母親と店長に話をしに行くことにした。

2日後、再びマヤの実家を訪れ、

計画を家族に話すと、あっさり承諾をもらった。


「それが現実になったら、

住むところは父が用意してくれるんだって」

とマヤが言った。


翌日、私たちはバイト先で旅行のお土産を渡し、

店長とスタッフにその旨を話した。

彼女のお母さんからはすでに店長に連絡がきていた。


「勉強道具、母に送ってもらったよ。

30キロまで最短で7日間で、料金は6万5500円」と説明した。


「マヤ、日本語の勉強もしてるんだって?」

と聞くと、彼女はにっこり笑った。


「マヤと出会った時は受験に失敗して

この先どうしたらいいか不安だったけど、

今は明確な目標ができて、やる気が出てきたよ」

と言った。


「クリスマスをスウェーデンで過ごし、

終わったら日本に帰って受験の準備をすることにする」

と言うと、彼女はクリスマスを一緒に過ごせることを喜んだ。

北欧のクリスマスはとても楽しみだ。


「春から東京大学に行けるなんて、

合格したらの話だけど、

それを考えるだけでワクワクするね」

と言うと、彼女も同じ気持ちだった。


「マヤ、スウェーデン王立工科大学(KTH)と 

東京大学との交換留学、 受け入れてるみたいだね」 

と尋ねると、


「ええ、そうなの。早速大学で手続きに取り掛かったわ」 

と彼女は、嬉しそうに答えた。


「それはすごいね。日本から受験のための荷物が届いた。 

早速1日8時間、勉強に集中するね。 

一度、試験を受けてるから、 

どこを重点に勉強すればいいか、 

分かってるからそれを元に頑張る」 

と意気込んでいった。





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