月夜の散歩
- カテゴリ:自作小説
- 2024/02/14 11:23:30
たぶんさ、君の心にあるのは恐れなんじゃないかい?
うん、そうかも知れない。
私、無意識にね、いろんなこと怖がってるのかも。
うん、でも、それってさ、自分ではどうしようもないことなんだろうね。きっと。
そう、誰かに気楽にやれよなんて言われてもさ、頭ではわかるけど、そんな簡単に切り替えられないよ。
そうだよね。
そんなことを話しながら、僕とみゆは西麻布のバーのカウンターで酒を飲んでいた。
僕はグレンフィデックのロック、みゆはスコッチウイスキー、生姜、ハチミツ、レモンジュースから作られたペニシリンというカクテルを飲んでいた。
二人とも、スコッチウイスキーが好きなのだ。
ここのバーは、おれたちの住んでる町からもそんなに遠くなくて、西麻布にあるけど値段もそれほど高くない。
落ち着いていて、二人のお気に入りの場所で、月に2、3回は来ていた。
でも、私、もうそうゆう自分の性格に疲れてきたの。
だから、何か変えなくちゃって思ってるんだけどさ。
そっか。
何か、具体的なアイデアはあるの?
うん、たぶん、たぶんだけどね、一つあるんだ。
へえ、どんなこと?
変に思わない?
たぶん、ほとんどの人は変だって思うからさ、話しにくいんだけど。。
たぶん、ほとんどの人は変だって思うからさ、話しにくいんだけど。。
いや、思わないよ。
じゃあ、あなただから話すね。
あの、こないだ、私、実家に行ったじゃない?
僕は頷いた。みゆは先週末に、正確には金曜日から日曜日まで2泊3日で実家の愛媛に帰っていたのだ。
それで、お姉ちゃんの知り合いと会う機会があったの。
たまたまね、お姉ちゃんがその人と会う予定があってね、その人、少し不思議な人で、みゆも会ってみたら?って言われたのね。
うん。
僕は、話の行方がわからないから、相槌だけ打って、黙ってみゆの話を聞いていた。
それで、お姉ちゃんの車でさ、愛媛の西予市ってところに行ったの。
なんだかわからないけど、行かなきゃって思ったの。
愛媛県の南の方の結構田舎の小さな町でさ、そこに小さなカフェがあるのよ。
おしゃれで可愛い小さなカフェだったわ。
うん。
そこのオーナーがお姉ちゃんの知り合いでね、ふみこさんってお姉ちゃんより少し年上で、40代中頃くらいかな。
それでね、そのふみこさんとそのカフェでコーヒー飲みながらおしゃべりしたのよ。
うん。
そしたらね、ふみこさん、私のこと、どんどん言い当てるの。
失礼じゃなかったら、少しあなたのこと言ってもいいかしら?って前置きをしてね。
例えば、私が去年、交通事故に遭ったことや、最近、転職を考えてること。
それから、あなたに出会って、付き合うようになったこと。
なんか、最近起こった出来事をほとんど全部。
へえ。。
それで、ふみこさんが言うには、私は心の奥の方にこんがらがってる糸みたいなのがあって、それはあなたの循環やアウトプットを少しやりづらくしてしまってるって言うの。
うん。
それでふみこさんは例を挙げてくれたのね。
例えば、私は職場で誰かに理不尽な扱いを受けても、何も声を上げることができなかったり、そして、そのネガティブなものを受け取ってしまって、ずっと抱え続けちゃうって。
それがあなたを疲れさせるって。
なるほど。
それでね、私は、まず仕事を変えること。
それから、最も大切なことは、、
うん、何?
ちょっと言いにくいんだけど。。
うん。
まず、あなたと性交することって言うのね。。
みゆはそう言って、顔を赤めた。
元々、そうゆうセクシャルな話はかなり照れてしまう方なのだ。
へえ、そうなんだ。
うん、そう、そして、あなたとした後に、二人で夜に散歩するんだって。
月が出てる日。
特に満月に近いほどいいんだって。。
へえ。。
ごめんね、急にこんなこと言って。。
ううん、大丈夫。
じゃあ、今度そうしてみようよ。
うん、ありがとう。。
それで、それをすると、どうなるの?
うん、それで、月夜の中を歩いてる時、その時にわかることがあるって。
うん、それで、月夜の中を歩いてる時、その時にわかることがあるって。
それで、そのわかった通りに行動すれば大丈夫。ってふみこさんが言ってたの。
私、なぜか彼女の言ってること、本当だって気がしてて。。
でも、あの!
そうゆうんじゃないの!
お金取られたとか、悪徳商法とか、なんか怪しい宗教に誘われたとか!
うん、わかるよ。
そうゆうんじゃないの!
お金取られたとか、悪徳商法とか、なんか怪しい宗教に誘われたとか!
うん、わかるよ。
彼女は別にそれを仕事にしてるわけじゃなくてね、ただのカフェのオーナーなの。
コーヒーと音楽が好きで、素敵なレコードで音楽を流せるカフェを持つことが昔からの夢だったって言ってたわ。
それで、その日の夜、ちょうど月もまるく、気温もそんな低くなかったので、僕たちはそれを試してみた。
それで、みゆが散歩中に何がわかったのかは、僕はあえて聞かなかった。
みゆだけがわかっていればそれで良いと思ったし、きっとそのうち、みゆは話したくなったら、僕にそのわかったことを話すだろうと思うから。
こんがらかった糸はすぐにはほどけないけど、みゆがわかったことを実行していくうちに少しづつほどけていくんだと思います(^-^)
こんがらかった糸はほどいたのかな、焼いちゃったかな
はい、ふみこさんのような人に見てもらったら良いのだけど、ただ、個人的には自分で時間はかかるけど、その具体的な方法って見つけられるような気がするんです。
例えば、ランニングを続けてみたり、日記を書いてみたり、メディテーションしてみたり。
わからないけど、何かを試してみることが大事なのかな?と思います。
でもアウトプットのやり方って人それぞれですよね~私もふみこさんに教えてほしいです(笑)
ふふ、そうなんです。
わざと、めちゃくちゃあっさりにしました(^-^)
この小さい小説の中での大事な部分は、実際に行われる彼女が変化するための具体的なことや、それによって彼女が何がわかったのかとか、そして、その後の変化ではなくて、その手前の自分を変えようとする彼女自身の心の中なので、それ以外はそこまで書かなくてもいいかな。と思って。
でも、余韻を残す感じでいいですね。