釵頭鳳
- カテゴリ:小説/詩
- 2009/10/26 18:02:00
釵頭鳳 陸遊
紅酥手
黄縢酒
滿城春色宮牆柳
東風惡
歡情薄
一懷愁緒
幾年離索
錯錯錯
春如舊
人空痩
涙痕紅鮫透
桃花落
閑池閣
山盟雖在
錦書難托
莫莫莫
(和訳)
貴女は紅いマニュキアの白くやわらかな手で酒をついでくれたね
街中 春の景色で満ちているが
貴女は触れることが出来ぬ 皇居の柳のようだ
今では、離婚させた母が憎い
せっかく巡り合えたのに喜びの気持は薄い
憂いを抱いたまま二人の仲を裂かれてから
もう何年間 離れて暮らしたことだろう
間違えていた 間違えていた 間違えていた
それでも春はめぐってきたけれど
あなたはただ痩せ衰え
私の涙は頬紅をつたい ハンカチを赤く染めてしまった
桃の花も散って静かな池の閣
かって山のように大きい愛の契りは あったものの
想いをしたためた手紙すらも、もう送ることはできない
ああ、もう悲しいだけだ、悲しい、悲しい
陸游は20歳。従兄妹の唐婉と結婚します。 唐婉の母親は唐婉を産んでからすぐに亡くなり、唐婉は陸游のところに引き取られ陸游の母親に兄弟のように育てられました。いつしか二人の間に愛情が芽生たわけです。二人は相思相愛の仲でありましたが、このの結婚は不幸な結果に終わるのです。
母親は陸游と唐婉が結婚してから、いろいろ不幸が続くので占い師にみてもらいました。
この占い師の勧めにより2人を離婚させることにします。
その後、唐婉は病弱でしたが再婚します。そしてまた陸游も間もなく二度目の妻、王氏を迎えます。でも唐婉には、陸游への想いは心の中にいつもありました。陸游もまた再婚はしましたが、唐婉のことを忘れる事はありませんでした。
離婚してから10年が経ったある日、偶然に沈園でふたりは出逢います。唐婉は夫と一緒でしたが、この夫は唐婉の陸游を思う気持ちは分かっていたので、唐婉を沈園に残して帰りました。唐婉は夫に語って、酒肴を陸游の元へ届けてきます。
陸遊は邸の壁にこの「釵頭鳳」を書いて立ち去りました。
それを読んだ唐婉も自分の気持ちを「釵頭鳳」として返答の詩を書きます。
釵頭鳳 唐婉
世情薄
人情惡
雨送黄昏花易落
曉風干
泪痕殘
欲箋心事
獨語斜欄
難難難
人成各
今非昨
病魂常似秋千索
角聲寒
夜爛珊
怕人尋問
咽泪裝歡
瞞瞞瞞
(和訳)
世の中は苛酷で、人の情けは醜い
日が暮れ始め雨が降り、花が散りやすい
明け方の風は涙の痕を乾かす
思うことを文にしたためたいけれど
手すりに寄りかかって 独り言を言うだけ
やっぱり難しい 難しい 難しいの
別々に生きることになった私たち
今日は昨日とは違うもの、
思い悩む心は堂々巡りで ブランコのヒモのよう
角笛の音色が物悲しい
真夜中は過ぎました
人に尋ねられるのが怖くって
本当は泣き叫ぶ心を隠して 楽しげに振舞っている
私は気持ちを騙している 騙している 騙しているの
その後、唐婉は精神的な面も加わり、病気が体を蝕み、30歳の若さで亡くなります。最後まで持っていた唐婉のかんざしだけが陸游の手元に戻ってきます。タイトルの釵頭鳳とはこのかんざしのことです。
この話にはまだ続きがあるのですが、それはまた別の機会に・・・。
*和訳は、現代風に判りやすくするため文字の足し引き、アレンジ等が入っていて正確な訳ではありません。別にここは漢詩の授業じゃないですしねw
そうですね、きっと幸せな人生だったと思います。
母親が、占い師の言うことを真に受けちゃってましたからね・・・。るるさんはたくましいですw
陸遊への気持ちを持ち続けている妻に対し
陸遊がいる沈園に残していく・・・夫(^^優しい♪)
女のとしてそれなりに幸せな生を送れたのかもしれませんね・・・
私だったらっ
占い師に離婚をするように言われようが知らんぷりを通すけど^^;
最近こんなのばっかり書いてますよね~なんかすみません。
これからはもっとライトでポップでおしゃれな奴を・・・。できるかなぁw
当時は、現在と違い、自由に恋愛できる風土ではなかったですしね・・・。
ラストで言ったとおり、この話にはまだ続きがありますよ。
どうなのでしょうか? 一度は一緒になったのですから続かなかったとはいえ幸せはあったと思います。
CRYさんも、秘めたままだなんていわずにね。
唐婉は女性としての幸せを全うできたのかもしれませんね。
そのかんざしを手にとった陸游はなにを想うのでしょうか?
気になります^^
想いを胸に秘めているだけの方が幸せなのかな~と考えさせられました。