ルーズリーフをちぎった紙に書かれた小説の一切れ
- カテゴリ:自作小説
- 2023/12/25 23:46:18
午後1時。窓の外にはゆっくりした冬の晴れた空が見えていた。
昼のスパゲッティを茹でる。
フライパンでニンニクを炒めて、茶色くなってきたらベーコンとほうれん草を入れる。
茹で上がったスパゲッティをフライパンに入れて具と絡ませてから、皿に盛る。
チェットベイカーのレコードをかけて、本を読みながらスパゲッティを食べる。
レコードから流れる音以外、何の音も聞こえない。
空になった皿をキッチンへ持って行き、洗う。
部屋へ戻り、椅子に座る。
もうすぐ10月になるな、とつぶやく。
タバコを巻いて、窓を開けて吸う。
2階にあるおれの部屋の窓から見下ろせる裏庭には誰もいない。
鳥もアライグマもリスも、何も動くものは無く、空に浮かぶ雲さえも静止してる。
タバコを吸い終えて、窓の冊子でもみ消す。水の入ったペットボトルに吸い殻を入れ蓋を閉める。
ノートを開いて、何か書こうと白いページを見るけど、何も言葉は出てこない。
おれは白紙のページを見つめて、えんぴつを持ち、
ただ呼吸しているだけだった。
ノートを閉じて棚にしまう。
棚には20冊のまっさらなノートがきちんとしまわれて、何か書かれるのを待ってる。
チェットベイカーのレコードが終わり、ちりちりと音を立てて回ってる。
B面を聞く気にはなれず、レコードを棚に片付ける。
呆然とした気持ちのまま、椅子に座り、前を見てる。
目をつむる。
真っ黒の視界の中に窓から差し込んでいる太陽の光が白くぼやけてる。
輪郭を持たない光はくるくると尾を引いて円を描いている。
ゆっくりと光が消えて、あとは黒い視界だけが残る。
静寂の黒の中であの人の顔やこの人の顔を思い描こうとしたが、無理だった。
この世界のことは何も知らず、暴力も偽善も孤独も性行為が行われている声も、大きさや濃さも、何もわからず、うる覚えの記憶はゆるゆると溶けて、いつでもここにあったはずのおれの魂が音を立てて破裂していた。
お褒めいただいて、ありがとうございます〜!!
ふふふ、褒められちった(^-^)
解脱?ってなんだろう?と思って見てみたら、悟り開くことなのですね〜(^-^)
そうですね〜、たしかに(^-^)
悲しみが煮詰まってどろどろになっちゃった無意識の害意のエネルギーみたいなのが、ケニーさんは、ありませんね 文章にいない