Nicotto Town


どんぐりやボタンとか


キラとニクラの大冒険 (51)

3人は海の底にいた。
海の底には辺り一面に100以上の沈没船が静かに朽ち果てていた。
そこには暗黒の胃袋も灰色の深い亀裂も巣も、7つの頭を持つ蛇を操っていた邪悪なものも無くなっていた。
イルカとツキとこすもすがゆったり3人の周りを泳いで、3人は空気の膜に包まれていた。

邪悪なものはもう存在することができなくなってしまっていた。

邪悪なものの憎悪の手はニクラの喉を切り裂き、心臓を潰し、内臓を破壊した。しかし、その概念は恐怖を捨てたニクラの心を殺すことは出来なかった。
恐怖を捨てたニクラの心のひとつひとつの無数の光の粒は、邪悪なものにとって堪え難い痛みだった。
その光がなんだったのか、ニクラにもわからないことだった。
邪悪なものはその激痛に自らその身を引き裂いて散り散りになるまで自分の存在を破壊した。
邪悪なものはみっともない恐怖そのものになって死んでいった。


ニクラはキラとぱっぱっぷすに言った。

さあ、戻ろう。

キラとぱっぱっぷすには、ツキとこすもすが寄り添っていた。

この海底に沈んでいる船のひとつには、きっとイランが眠っているだろう。




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