キラとニクラの大冒険 (41)
- カテゴリ:自作小説
- 2023/11/03 08:34:22
おい、キラ、そのイランっていう宝石はどこにあるんだ?
ぱっぱっぷすが聞いた。
うん、わたしもニクラもイランがどこにあるか知らないの。
この海のどこかに王様の船が沈んでいて、そこにイランがあるみたいなの。
そうかぁ、まあおれはその宝物が見つかっても見つからなくても、本当はどうでもいいんだけどな!
おれは見たことのないものを見たいだけなんだ。
7つの頭の蛇っていうのも見てみたいしなぁ。
するとキラもうなずいて言った。
うん、わたしも今はもう宝石が見つからなくてもいいって思ってるの。はじめはお金がたくさんあったら、家を出て自由になれる。って思ってたけど、今はお金がなくても自由になれるって思うようになったの。
ふたりのおかげだわ。
キラはそう言ってぱっぱっぷすに微笑んだ。
ぱっぱっぷすはキラのまっすぐな目を見て、どぎまぎした。
キラの目は女の子の可愛らしさと、何か不思議な力があるように思えた。
それから、これからどうしようか、と話していると、突然、ニクラの声がした。
う、うーん、、と言いながら、ニクラはゆっくりと目をあけた。
ニクラ!!!
キラとぱっぱっぷすはニクラに話しかけた。
ニクラ、大丈夫!?
キラ、、ぱっぱっぷす、、、、
ニクラはふたりを見て力無く笑いながら、身体を起こそうとしていた。
ぼく、、どうしたんだろう?
ニクラは自分が今どうなっているのかあまりわかっていないようで、身体を起こそうして地面に手をついた腕の痛みに顔をしかめた。
おい、無理すんな!!
まだ寝てろ!
そう言って、ぱっぱっぷすはニクラを支えて横たわらせた。
みんな、でっかい生き物に吹っ飛ばされたんだけどよぅ!ニクラだけずっと遠くに飛ばされちまったんだよぅ!!
ニクラは自分の身体に手を当ててるキラと、横によりそっているイルカを見た。
みんながぼくを助けてくれたの?
キラはニクラが目を覚ましたことが嬉しくて、大きな声で言った。
うん、ぱっぱっぷすもイルカもツキもこすもすもね!!
みんなで力を合わせて、ニクラを探したんだから!!
そうだったんだ、、ありがとう。
ニクラはそうゆうとまた起き上がろうとした。
ぱっぱっぷすは心配して、おい無理すんなよぅ。と言って、ニクラを支えた。
ニクラは、ありがとう。ぱっぱっぷす。大丈夫、起きれるよ。と言って、上半身を起こした。
キラは涙をぽろぽろ流しながら言った。
ほんとにほんとによかった、ニクラ。
ぱっぱっぷすもそれを見て、涙ぐんで、それを隠すように言った。
へへ!!
ニクラ!腹へってねえか!?
うまい貝があるんだ!!
ぱっぱっぷすは貝をナイフであけて、ニクラに渡した。
ニクラは、にっこり笑って貝の身を口にいれてゆっくり噛んで飲み込んだ。
すごく美味しいよ、ぱっぱっぷす。
そうか!うまいか!!
もっと食え!ニクラ!!
ぱっぱっぷすは次から次に貝をあけてニクラに渡した。
ニクラはふたりを見て、ふたりは食べないの?と、聞いた。
うん、わたしたちはもう食べたの。だから、ニクラが全部食べて!
と、キラが言った。
本当は少しの魚と貝だけではふたりとも全然足りてなくて、まだすごくおなかがへっていたけど、残しておいた貝を全部ニクラに食べさせて、それからもっと貝を見つけてニクラに全部食べさせた。
ニクラは貝を食べながら、ふたりの優しさが嬉しくて、いっぺんに安心して涙ぐんでいた。
ぱっぱっぷすはそれを見て、おい!ニクラもキラも泣き虫だな!!と、からかった。
ニクラが貝を食べ終わると言った。
ふたりとも、ほんとうにありがとう。ぼくはもう大丈夫だから、みんなで浜に戻ろう。
ニクラはそう言いながらイルカにまたがろうとしたけど、よろめいて倒れそうになってしまった。
ぱっぱっぷすがとっさにニクラを支えて、座らせた。
ろくに歩けねえやつがイルカに乗れるわけねえよぅ!ニクラ!
ニクラはまだ顔色が悪くて、ふらふらしていた。
ニクラ、ほんとに無理しないほうがいいわ。急がなくていいからもう少し休みましょう。
とキラが言った。
うん、でも海の中にずっといたら、またさっきのような巨大な生き物があらわれるかもしれないよ。
今のうちに戻ろう。
ニクラはそう言って立ち上がろうとしたけど、またよろめいて座り込んでしまった。ニクラはふたりを自分のために危ない目にあわせたくなかった。
なにか危険があったらすぐに気がつくわ。
キラはそう言うと、落ち着いてニクラの横に座った。
ぱっぱっぷすも言った。
大丈夫だ!ニクラ!なにが来てもおれがモリでやっつけてやるさ!心配すんなよなぁ!
ニクラはすまなそうにふたりにあやまった。
ふたりとも、ありがとう。
ごめん。
それから3人は空気の玉の中に座って、あたりを見わたした、
ぱっぱっぷすは空気の玉から出て、向こうに見える海藻の森へ食べ物を探しに行きたがったけど、キラもニクラもそれを止めた。
ぱっぱっぷすが、腹がへったなあ!と言ったとき、海藻の森からおびただしい数の魚たちが逃げるように飛び出して来た。
3人は驚いてそれを見ていると、こんどは海藻の森から3頭のサメがあらわれた。
魚たちはこのサメから逃げていたようだ。
それを見たぱっぱっぷすが、
おい!あれ、うまそうだな!食えるのか!?
とニクラに聞いた。ぱっぱっぷすにとってはサメがとても美味しそうに見えるらしい。きっとかみつきのような凶暴な動物を食べることに慣れているので、凶暴そうな生き物はきっと美味しいと思っているようだ。
ニクラは本で読んでサメが食べれることを知っていたけど、とても危険な生き物だということも知っていた。
うん、食べれるけど、すごく凶暴なんだ。ふたりとも動かないでじっとしてるほうがいい。
ぱっぱっぷすはそれを聞くと、あっという間にモリを掴んで、空気の玉から素早く飛び出してしまった。
ニクラとキラが止める暇もなかった。
3匹のサメはぱっぱっぷすを見つけると、身をひるがえしてぱっぱっぷす向かって突進してきた。
ぱっぱっぷす!
ニクラはとっさにぱっぱっぷすを助けようと立ち上がったけど、すぐによろめいてキラに支えられた。
ぱっぱっぷすは一直線に向かってくるサメを相手にあわてることもなく、ゆっくりとモリをかまえた。
先頭のサメが大きく口を開けてぱっぱっぷすに襲いかかった。
ぱっぱっぷすは水中にもかかわらず器用にくるりと身を反転させて、サメの横っ腹にモリを鋭く放った。
モリは一撃でサメの身体を貫いていた。
ぱっぱっぷすは一目見るだけで生き物の急所をすぐに見つけることができた。
そしてその常識はずれの力は海の中でも、並みの大人よりはるかに強かった。
一匹のサメが海底に崩れ落ちると、他の2匹は驚いて逃げてしまった。
ぱっぱっぷすはとらえたサメを抱えて意気揚々と空気の玉に戻ってきた。
へへへ~!!
すげえだろう!
するとキラが怒って言った。
ぱっぱっぷす!いくら上手に狩りができるからって、危ないわ!
ぱっぱっぷすは怒っているキラを見て、しょんぼりしてあやまった。
ごめんよ、キラ、ニクラ。
どうしても腹がへっててよぅ、、サメってやつがうまそうだったからよぅ。。
もう!!ぱっぱっぷすって食いしん坊ね!
キラはそう言って笑った。
ニクラも笑って、少し元気がでた。