キラとニクラの大冒険 (26)
- カテゴリ:自作小説
- 2023/10/15 11:22:28
ぱっぱっぷすはこの池から、めくらの家までどうやって行けばいいか知っていた。
ぱっぱっぷすはふらふらと足元がおぼつかなかったけど、先頭になって森の中を向こう側の山に向かって進んだ。
足を引きずって歩くポルコに合わせて、ゆっくりと歩いた。
キラとニクラは途中で何度もポルコの足を池からくんできた冷たい水で冷やした。
ポルコの足はじょじょにつらくなってきているようで、たまに立ち止まって休憩した。
ぱっぱっぷすは水をのみながら、みんなに言った。
めくらはおれたちのなかまなんだけど、ひとりでみんなから離れたところで住んでるんだ。
もうすぐだ。
ぱっぱっぷすの言うとおり、そこからちょっと坂を上ったところにめくらの家があった。
ひときわ大きなバルバルの木の上にぱっぱっぷすの家より高い家があった。
家は木で作られているのだけど、その木の組み方がめちゃくちゃだった。
太い木も細い枝も関係なくとにかくでたらめにどんどん釘で打ちつけて作ってあって、いろんなところから釘や枝やよくわからない棒なんかが飛び出して、さまざまな色の鳥の羽、鳥の巣、蛇の抜け殻、ねずみの毛皮、何かの大きな牙、卵のカラ、熊のような大きな動物やウサギのような小さな動物の頭蓋骨、などがごちゃごちゃといろんなところにぶら下がったり、釘で打たれたりしていた。
家はななめに傾いてひしゃげており、倒れないで建っているのが不思議なくらいだった。
まわりには他に家は無く、ほんとうにひとりきりで暮らしているようだ。
ぱっぱっぷすはケガのためにうまく縄はしごを登れないので、ニクラがおんぶして登った。
ぱっぱっぷすがななめにねじくれた扉をノックすると、中から、太く低い声で、入れ。と、声が聞こえた。
扉を開けると、中に巨大な老人が立っていた。
家の天井に頭が付きそうなほど大きな身体で、髪は真っ白で頭の上で何重にもとぐろを巻いていた。
ニクラとキラはこんなに大きな人間を見たのははじめてで、すごく驚いた。
はじめあまりに大きな身体なので男の人だと思ったけど、大きな胸が突き出しているので、女性だとわかった。
はーーーーーーーーはっはっは!!!!ぼうずとおじょうちゃんはびっくりしたかい?!!
突然、とってもでっかい声で老婆が言ったので、ふたりはますます驚いた。
老婆は目が見えないようで、目はあいていたけど、黒目がいつもいろんなところへ行ったり来たりしてせわしなく動いていた。
おい!!ぱっぱっぷす!!おまえがケガしたんだろう?!見せてみろ!!
老婆は、まだぱっぱっぷすが何も言っていないのに、ぱっぱっぷすが来たことも、ケガをしていることも、当たり前のように言い当てた。そういえば、目が見えないのに、なぜニクラとキラが一緒に来たこともわかったのだろう?
ぱっぱっぷすは老婆に言った。
うん、魔物と戦ったんだ。腕が折れちまった。
老婆は、大きな声で笑った。
はーーーーーーーーー!!!!
やっぱりさっきの音はおまえだったのか!!うるさくって眠れやしなかったよ!!!それにしてもよく死ななかったねえ!!!!ええ??!!
ぱっぱっぷすは言った。
うん、このふたりが助けてくれたんだ。
キラが言った。
おばあさま、おじゃまします。キラと言います。はじめまして。
ニクラもキラのまねをして、礼儀正しく自己紹介をしようとしたけど、やっぱり自分の言い方じゃないとうまく話せないので、
おばあちゃん!ポルコもケガをしてるんだ。助けて下さい!
と、言った。
はっ!!!おまえら、町の子かい??!!おばあさま、なんてはじめて言われたよ!!!
いいよ!!!あとで馬も見てやるから待ってな!!!!!!
老婆はニクラがポルコのことを馬と言ってないのに、それも言い当てた。
何もかも起こってる出来事がわかってしまうのだろうか。
老婆は小さな引き出し(本当は大きな引き出しなんだけど、巨大な老婆が触るととても小さく見えた。)から、茶色い封筒を出した。封筒を開けると、中には黄色い粉が入っていた。
老婆はすり鉢に強い匂いがするとろりとした透明な液体を入れて、黄色い粉もその中にいれてかき混ぜた。
えもんがの粉とヴォルガ酒だよ!!もっともおまえたちが飲んだらぶっ倒れちまうくらい強い酒さ!!!!
老婆はそう言いながら、少しずつ黄色い粉を増やしながら混ぜていった。すり鉢の中の液体は、黄色い粉を増やすごとにドロドロになって、そのうち粘土のようになった。
老婆はそれを大きな手でぎゅうぎゅうと力強くこねて、小さな団子をどんどんたくさん作った。
ぱっぱっぷす、お前は5つ食べな!!!おじょうちゃん!!!馬に30こ食べさせな!!!!!!
そう言うと、老婆はキラにざるに入れたたくさんの団子を渡した。
キラは、はい!と、言って、外にいるポルコに団子を食べさせに行った。
ぱっぱっぷすはそれを食べると顔中をしかめさせて言った。
にがいなあ!!!
ぱっぱっぷすは水で流し込みながら、なんとか5つの団子を食べ終えた。
外ではキラがポルコに団子を食べさせていた。きっと水がいると思って、ニクラはポルコに水を持って行った。
ポルコはにがくないのか、途中で何度か水を飲みながら、30この団子をどんどん食べて、あっと言う間に食べ終えてしまった。
すると、家の中から、
ぎゃあ~~~!!!!!!
いでえ~~~~!!!!!!!!!
という叫び声が聞こえた。
なにごとかと思って、ニクラとキラが急いで家の中へ戻ると、あおむけに寝てるぱっぱっぷすのおなかを老婆は踊るかのように足のかかとでぐりぐりと押していた。
おばあちゃん!なにしてるの!!!
と、ニクラが驚いて言うと、老婆は、
だまって見てな!!!!!
と、大声で言った。
ぱっぱっぷすは、ぐう~~!!とか、あーーーーー!!!!とか叫んで、もがきながら、耐えていた。
すると、ぱっぱっぷすに口から、黒い小さなものが、ぽーん、と飛び出した。
黒い小さなものは幼虫みたいな形でうねうねと床の上を逃げていた。
老婆は、それをひょいっとつまみあげると口に放り込んで、もぐもぐと食べてしまうと言った。
今のは魔物の幼虫さ。こいつを腹から追い出さないとぱっぱっぷすはやがて死ぬのさ!
おばあさまは食べてしまって、大丈夫なの?!
とキラが聞いた。
ははは!わたしは呪術師だから平気さ!腹の中にまじないがかかってるのさ!!
さて、こいつさえ腹から追い出しちまえば後は簡単さ。
そう言うと、老婆は手際よくぱっぱっぷすの折れた腕や頭の治療をした。
大きな声でそう言うと、老婆は大股に歩いて家から出て、ポルコのところへ行った。
ぱっぱっぷすはしばらく寝なくてはいけなくて、藁布団の上でぐったりと横になっている。
ニクラとキラもポルコが心配で、外に出た。
ジブリだなんて、光栄です!!
この辺りの場面や、そして、ぱっぱっぷすとこの呪術師の老婆のキャラクターは思いっきりジブリに影響されてます(^-^)
ジブリ、ハリーポッター、ムーミンなどにだいぶ影響されて、この小説は生まれているんです〜!
それらに影響されたのを、自分なりにこねてもぐもぐして消化して、一つのストーリーになっていると思います。