キラとニクラの大冒険 (25)
- カテゴリ:自作小説
- 2023/10/11 10:29:21
ポルコもキラもニクラも、どこへ向かって走っているのかわからなかった。すると、キラの頭にまたメッセージが送られた。
飛び込め!
キラはなんのことかわからないけど、ニクラに叫んだ。
飛び込んで!
すると、さきに池が見えた。
ニクラはポルコに、止まらないで、進んで!と合図した。
ポルコはそのまま止まらないで池の中に突っ込んだ。
ニクラは池に入る瞬間、とっさに荷台に飛び移り、ポルコと荷台をつなぐハーネスを外した。
ポルコはそのまま池へ飛び込んで、キラもポルコから水へ飛び込み、池のほとりに転がった荷台へと急ぐ。
ニクラとキラは二人で荷台からぱっぱっぷすの腕を掴んで、池に飛び込んだ。
背後では魔物が凄まじい声をあげながら、こちらへ向かって来ていた。
ポルコは犬かきのように泳ぐことができた。
すいすいと先頭を泳いで行くと、ニクラとキラを振り返った。
自分につかまれ。というようにゆっくりと泳いでふたりを待った。
ニクラとキラはぱっぱっぷすを抱えてるのでうまく泳げなかったけど、必死にポルコに追いついてポルコの身体につかまった。
ポルコはふたりがつかまっても、平気で水に浮かんで泳ぐことができた。
ぱっぱっぷすの顔に冷たい池の水がかかり、ぱっぱっぷすは目を覚ました。だけど、ひどいケガのせいで朦朧としていて、ぱっぱっぷすは夢の中にいるようだった。
でも、ニクラとキラが自分を助けようとしていることだけはわかった。
魔物が水際にたどり着いた。
こちらに向かって、強烈な声で怒りの咆哮をあげたけど、水の中へは入れないようだった。
魔物は水が怖いのだ。
それでも、魔物は諦めきれずに水際に倒れて横たわる馬車の荷台の匂いを嗅いで、噛み付いて壊している。
ポルコは池の真ん中で浮かんでいた。水から上がれば、またすぐに魔物が追ってくることはわかっていたから、水の中にいるしかなかった。
満月の明かりが暗い水面をてらりてらりと照らしていた。
池の真ん中に浮かんでいると、キラは、ポルコのまわりの水面に無数の小さな光が瞬いていることに気がついて、ニクラに言った。
ニクラ、なにか光ってる!
ニクラもその光に気がついた。
水面をキラキラと輝く小さな光はどんどんその数を増やしていく。
無数の光が池中を覆い尽くし、ぱちゃぱちゃと小さく細かい波が立った。
それから突然、
どっ!
どどどどどどどどど!!
と、すごい勢いで水面の水が滝が登るように空高く舞い上がった。水は数多の光の粒を含んだまま高い夜空に渦を巻いた。
それから、光の粒たちはいっせいに一つの大きな滝のようになって魔物に向かって降り注いだ。
驚いた魔物は、突然自分に向かってきた光の滝を喰おうとして大きく口を開けた。
ぐろろろろろろおおおお!!!!!
黒い魔物は凄まじい唸り声をあげた。
光の粒はあっという間に魔物の身体ぜんたいを覆い尽くしていた。
光に覆われた魔物の身体はキラキラと輝いて、まともに見れないほど眩しかった。
魔物は咆哮をあげながら、大暴れしていたけど、光は身体から離れなかった。
やがて、光は少しづつ形を小さくしていった。
そして、りんごくらいの大きさになって、ぱっと暗闇に消えてしまった。
後にはどこにも魔物の身体がなくなっていた。
池の水面はまた月の明かりに照らされててらりてらりと揺らめいていた。
ニクラとキラは再び起きたわけのわからないことに、驚いていた。
すると、キラの頭にまたメッセージが送られた。
わたしのなかまたちがやった。
魔物はべつの世界に送られた。
キラはわけのわからないまま、ニクラにそれを伝えた。
その時、キラの肩から、ゆるゆるとあめしらずが出てきた。
キラ!肩からあめしらずが出てきてる!
あめしらずはゆっくりと水面を泳ぐとニクラの外套の内ポケットに戻った。
ふたりは、またあめしらずがやったことなんだ。とわかった。
ニクラがすばるからくりを作っているあいだ、キラはあめしらずを飼っていた。
あめしらずはそのあいだにキラと心を通わせることができるようになった。
そして、あめしらずはキラとニクラを守ったのだ。
あめしらずや緑の子豚のような精霊たちは、自分のなかまや森を守るために、その力を使うようだった。
ニクラとキラとぱっぱっぷすはポルコにつかまって、岸へ戻った。
みんな身体中から水が滴り、くたくたに疲れ果てて岸辺に倒れこんだ。
岸には魔物に噛み壊された馬車の荷台が転がっていた。
ぱっぱっぷすはようやく少し話せるようになって、ふたりに言った。
ニクラとキラがいなかったら、おれは死んでた。。
ニクラとキラは、ぱっぱっぷすが、おまえら、じゃなくて、名前を言ってくれたことが嬉しかった。
ニクラは言った。
ぱっぱっぷす、だいじょうぶかい?すぐに町へ戻って、お医者さんに見てもらおう。
すぐに馬車を直すよ。
ぱっぱっぷすが言った。
いや、町へは行かねえ。めくらのとこに連れてってくれよ。
めくらって?
キラが聞いた。
おれたちはケガをしたり、病気になると、めくらのところへ行くんだ。きっとポルコのケガも治してくれるよ。
ニクラとキラは気がついてなかったけど、見ると魔物から逃げるため、木や岩にぶつかっても無我夢中で走ったためにポルコの身体は傷だらけだった。
キラは泣きそうな顔になってポルコの身体を触った。
ポルコ、こんなに傷ついていたのね。ごめんね、ポルコ。ごめんなさい。
でも、ポルコは、ぼくは平気だよ。と言うように、ブルルルっと口を鳴らしてから、キラのおなかに頭をこすりつけた。
ポルコは足を少し引きずっていた。
ニクラはそれを見て、ぱっぱっぷすに聞いた。
そのめくらって人に会いに行くのは遠いの?
いや、そんなに遠くないよ。ポルコもだいじょうぶだ。
とぱっぱっぷすは答えた。
3人は壊れた馬車にわずかに残っていた干し魚を食べながら少し休憩してから、すぐにめくらのところへ出発することにした。
ニクラは壊れた荷台から、食べ物と雨合羽を出して、小さなバックパックにつめかえた。
もう朝になっていた。
はい、ありがとうございます!
また気が向いたら、読みに来てください〜(^-^)
描写が分かりやすく伝わるし、空想の生き物でもすごい細かく描写されてて特徴あるので、引き込まれます。
一気に読まないと続きが気になって長くなるので、また時間出来た時に読みに伺いますね~♪
ありがとうございます!