海の見える町 (5)
- カテゴリ:自作小説
- 2023/09/08 11:17:51
それから数日間、おれとはつみは浜辺で朝、会うのが習慣になった。はつみはおれのことを、さく、と呼んだ。少しこそばゆいけど、そんなふうに呼んでくれるのは嬉しかった。彼女と話すのはとても楽しかった。言葉がくるくると砂浜をまわって線を描き、宙を舞ってツバメのように滑らかに空を低く高く飛んでキラキラと輝いた。
つまり、そんなふうに自由におしゃべりしたってことだ。
二人で黙って、ただ砂浜に腰をおろして海をながめていることもあった。
はつみは不思議なものでしゃべっていないと、少しの緊張感と柔らかさを同時に身にまとっている印象があった。
二人でそんな風に過ごしている時、ごはんは何故か二人から離れることが多かった。
でも、おれたちが砂浜に足を伸ばして座っていると、たまにおれたちの足先に少しだけ触れる場所で横になって一緒に海を眺めていることもあった。
そうゆうときはなんだか恋人とのデートというより、家族のような親密な空気が生まれた。
そうやって10日が過ぎて、少しづつ、おれにとってこの小さな漁師町が特別なものになっていった。
ベッド&ブレックファーストの主人ともどんどん仲良くなっていくことができた。
主人はおれを相手におしゃべりをしたり、料理の感想を聞くのが好きみたいで、おれも彼の人懐っこさと愛らしさがとても好きだった。二人でよく食堂で一緒に食事をしてコーヒーやワインを飲みながら、食後に話をした。たまにはつみとごはんが宿へ来て、一緒に夕食を食べることがあった。
でも、お姉ちゃんが私とごはんのぶんの食事も作ってくれているから、あまり外食するのは申し訳ないのよ、と、たまにしかこなかった。
でも、本当はそんな理由ではなかったらしい。後からはつみのお姉さんから聞いたところによると、あの時はつみは急激におれを好きになってきていて、自分でもそれをセーブすることができなくなっていた。浜辺で過ごす時間以上にもっとたくさんの時間をおれと過ごすことで、自分を自分でコントロールできなくなって、混乱してしまうことが怖かったらしい。彼女の気持ちはそれほど激しいものだったのだ。
おれははつみのお姉さんからそれを聞くまで、ずっとただ単に「お姉ちゃんに悪いから」というはつみの言葉を素直に受け取って、彼女の心のうちを知る由もなかった。
おれは朝起きて、浜へ行きはつみと過ごしたら、ベッド&ブレックファーストへ戻り、朝食を食べ、そのあと部屋で小説を書いて過ごした。
午後は海へ出かけて釣りに行くこともあったし、誘われれば主人と一緒に昼ごはんを食べた。
海へ行く時は、決まってはつみに会えることを期待していた。
しかし、はつみと昼や夜、浜辺で会うことは無かった。
素敵な日々が続いたけれど、おれは自分の街に帰らなければならなかった。
小説を書いて生きるにはこの町は小さ過ぎたし、旅のお金も、もうあと数日分の宿賃と帰りの列車チケット代くらいしか無かった。
おれははつみにもうすぐこの町を発つことを言えずにいた。
なので、この小説もまた、自然と二人の恋の行方がわかったら、それを書いて載せますね。
読んでくれて、ありがとう(^-^)
確かに!
べるさんに言われて、鈍感なおれはわかったけど、そうか、旅の人だから、ますます感情を抑えようと思ってたのか!
作者のくせに、はつみの気持ちをそこまで深くはわかってなかったなぁ。。
女心のわからんおれなのです〜(涙)
はい、また書いたら、載せますね!!ありがとう!
二人がお別れの時にどういう行動を取るんだろうというのは気になります。
お話の続きはまた余裕がある時に浮かんできたらでお願いしますね♬
はい、人それぞれの今後の展開を想像して楽しんでいただくのは嬉しいです。
また続き書いたら載せてみますので、気が向いたら読んでください(^-^)
あの時のはつみさんとそっくりの少女に出会って、思わず追いかける。
・・・事故死 なんて不吉なラストを思い浮かべてしまいました(;^_^A
そうなんです〜!
すいません!!
この小説をパソコンのフォルダから見つけた時、あ、これ好きなやつだ!って、勢いで載せてしまったのですが、未完のままで。。
ほんと、いよいよこれからってところですよね〜。。。
また続き書いたら、載せますので、読んでください〜!
ごめんなさい〜!
ケニーさんには途中の物語が複数あるんですね
気分とか環境でどれかの物語が進展したりするのかな?
そういえばあるミュージシャンは曲を作るたびにとはいかないけど、
かなり頻繁にお引越しをするらしいですよ